「楽天ビック」始動--ECと実店舗の連携を強化、独自商品の共同開発も

 楽天とビックカメラは4月11日、家電領域における新サービスを共同で開始し、「楽天市場」内にECサイト「楽天ビック」を開設。ビックカメラの実店舗とも連携し、オンラインとオフラインの垣根を越えたサービスを展開する。


(左から)楽天執行役員楽天市場事業長の矢澤俊介氏、同社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏、ビックカメラ代表取締役社長の宮嶋宏幸氏、同社常務執行役員EC事業本部長の秋保徹氏

 今回の連携は、楽天の持つECの知見や約9500万ID数にのぼる楽天会員を中心とした顧客基盤と「楽天スーパーポイント」を軸とした楽天経済圏、ビックカメラの持つ商品力・価格競争力や全国40の実店舗、配送網、アフター対応などの強みをを融合したもの。ビックカメラでは、以前より楽天市場に出店していたが、オンラインとオフラインでの相互送客、物流面、商品開発にいたるまで連携を強化する。なお、楽天では2018年1月にも、ウォルマートと生鮮食品や日用品における提携を発表しており、オフライン側との連携を強めている。


今回の連携の概要

取扱商品の一部

 ビックカメラ常務執行役員EC事業本部長の秋保徹氏は、家電領域におけるECの弱みとして「実物を見られない、体感できない、説明が聞けないという悩みが、エアコンや冷蔵庫、テレビといった大型家電の設置や工事を伴うものほど顕著になる」とし、「ネットとイメージや質感が違った。手元に届いてから返品するというのが多いのもネット通販に多いケース。ネットでの買い物に対してまだまだ不安を抱くお客様がたくさんいる」と説明。店舗受取りサービスの認知度向上とともに利用も急速に伸び、こうした実店舗ならではの需要の大きさを認識したという。

 楽天ビックでは、ビックカメラの実店舗45店舗の在庫確認機能を提供。楽天側から店舗在庫を押さえることができるほか、受け取り希望店舗に在庫がない場合、他店や倉庫にある在庫をその店舗まで配送させることも可能だ。これにより、楽天会員のビックカメラ店舗への送客を実現し、「ついで買い」需要を掘り起こせるほか、若年層など新規顧客の開拓に結び付けられる。「実際に商品を見て購入したい」というユーザーの声にも応えられる。


家電購入におけるECの弱点

オンラインとオフラインの連携フロー

 加えて、47店舗で楽天ポイントカードを導入。ユーザーは、商品購入時に、楽天ポイントとビックポイントのどちらかを選択できる。楽天ポイントの場合、商品購入額の5%がポイントとして貯まる。今後は、楽天ポイントによる支払いも可能になる予定だという。また、ECでの大型家電購入時に不安として挙がりやすい、家電の設置工事などをスムーズに依頼できるサイト構築を進めるほか、東京23区では15時までの購入で当日配送(23区外も検討)が可能となる。

 両社の知見を生かした独自商品の開発も進め、楽天ビックや全国のビックカメラでの販売も進める。約9500万の楽天会員ID数と市場全体の嗜好、ビックポイントカード3000万人分の家電に対する嗜好を組み合わせる。第一弾として、ビックカメラグループ専売モデルのVRヘッドマウントディスプレイを楽天ビックで先行販売を予定。フルHDの解像度を持ち、STEAM VRなど幅広いコンテンツを楽しめるという。


両社による独自商品開発も

 物流面では、ビックカメラが持つさいたまと千葉の物流拠点のほかに、楽天が持つ神奈川などの物流拠点でも、小さな商品などビックカメラの一部商品を扱う予定だという。神奈川拠点の9割は自動化が進んでおり、自動ピッキングから配送まで時間のロスを削減できるとしている。その後のステップとして、ビックカメラの物流拠点を、ほかの楽天市場に出店しているストアが利用するディスカッションも進んでいるという。

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