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だから人はネット詐欺に騙される--その背景にある「確証バイアス」とは - (page 2)

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詐欺に遭っている人を立ち止まらせない“確証バイアス”とは

 ではなぜ、こうしたウェブサイトに遭遇した際に、詐欺に騙されているのではないかと冷静に考え、立ち止まることができないのか。山本氏はその要因のひとつに「確証バイアス」という人間の心理的特徴を挙げた。

 認知心理学や社会心理学などで用いられる確証バイアスとは、自分の中にある仮説や心理的な情況(心証)を検証する際に、それを支持=肯定する情報ばかりに目を向けて、反証=否定する情報を無視したり、眼を背けてしまうという心理的傾向を指す。たとえば、先ほどの偽ECサイトであれば、「このサイトは信頼しても大丈夫なはずだ」という心証に至れば、それを否定するような材料を探さなくなってしまう。「人間には、一度信じてしまうとそれを支持する=追認する情報ばかりを集めようとしてしまうという行動特性がある」(山本氏)。


人が騙される心理的な特徴について、自身の経験を元に解説した

 実際、山本氏もかつて海外未公開企業の株式投資詐欺の被害に遭ってしまったのだという。端緒は知り合い(実は詐欺師だった)からの軽い誘い。その知り合いから紹介された投資ビジネスの“担当者”は、投資先企業に関する詳細な資料や現地の大手経済紙に掲載した広告などを紹介し、企業の実在性を証明する。山本氏は、知り合いからの紹介や実在する広告などの材料で“この企業は間違いなく実在する”という確証バイアスの状態に入ってしまったという。

 「相手の詐欺師は、信用させるための行動を貫く。自分からプッシュせず、こちらから関心を持つように仕向けてきた。質問に応じて消化しきれないほどの詳細な資料を提示し、そして投資を決意する期限を切ってきた。よく考えれば、投資額が決して少なくなく、未公開株なので今後どうなるかはわからない。そしてその企業が海外にある。しかし、確証バイアスが働き“なんとかなるはずだ”という心理が勝ってしまった」(山本氏)。


講演の中で、山本氏は自分が詐欺に遭った際に詐欺師から渡された新聞広告を紹介した

 そうして、山本氏は投資資金を振込み、実際に株式の証書も送られてきた。その後も相手とはコミュニケーションが取れていたそうだが、時間とともに疎遠になっていき、自分が騙されたことを知ったのは詐欺事件を報じる新聞記事だったという。実際には投資先企業は存在したが、その企業への投資案件そのものが嘘だったのだ。

 「反省点は、その投資先企業が実在するかネットを通じて調べるばかりで、その企業と詐欺師の関係性を疑わなかったという点。そこには、自分が得た心証を否定するような情報から目を背けようとする心理的な特徴が働いたのではないか」(山本氏)。

 山本氏は、このようなネット詐欺でも陥ることのある確証バイアスに関して、「ウェイソンの選択課題」という心理テストを紹介した。4枚のカードに数字やアルファベットが書かれており、あるルールが正しいかを調べるためにはどのカードをめくる必要があるかを試すものだ。


「ウェイソンの選択課題」

 「A」「F」「3」「6」という4枚のカードがあり、「もし表がAならば裏は3」というルールが正しいかを調べたい。多くの人は、3をめくることだろう。しかし答えは「A」と「6」だ。このルールは「表がAならば裏は3」とは言っているが「3の裏」については一切言及していない。まずは「A」の裏が「3」だという定義を確認し、加えて「6」の裏が「A」ではないことをも確認する必要があるのだ。大学生に行った検証では、正解率はわずか5%だったという。

 「与えられた3、Aという文字につられて、確証バイアスが働き“条件が正しい”ことだけを確認しようとした結果、誤った選択をしてしまう」(山本氏)。


選択肢が変わると答えは驚くほど明瞭になる。この場合は、「ビールの裏が16歳であってはならない」「16歳の裏がビールであってはならない」ということを調べる必要がある

 多くの詐欺グループが使っている心理的手法で、不安や不可解な点を感じても、なにかの行動を起こすことでその行動を肯定する要因に注目するようになり、その行動の理由付けを強化してしまうという人の特徴につけ込んでいるのだという。こうした行動を防ぎ詐欺の被害を回避するために、山本氏は「違和感をもった場合には立ち止まること、そしてその違和感の原因を自分で論理的に調べ、方向転換する勇気を持つことが必要だ」とまとめた。

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