先ごろ話題となったFacebookのデータ不正流用に関係した英企業Cambridge Analyticaは、どのようなデータを保有し、どのように利用していたか、ある米国市民に対して説明するよう迫られそうだ。そして、それには英国の規制当局の力が必要だった。
その過程で、他の大勢の米国民にも、自分のデータに関する情報を要求できる道が開けるかもしれない。
英情報コミッショナー事務局(ICO)は現地時間5月4日、ロンドンを拠点とするCambridge Analyticaの親会社SCL Elections Limitedに対して、30日以内に米国のある大学准教授に情報を提供するよう命じた。情報を提供しなければ刑事訴追を受ける可能性がある。提供される情報には、この准教授に関して保有しているデータのコピーとその出所、共有した相手、利用方法が含まれる。
ICOの命令は、英国のデータ保護法に基いてニューヨークのパーソンズ美術大学のDavid Carroll准教授が申請した「個人情報の開示請求」(SAR)によるものだ。SARを利用すれば、個人情報を保有または利用、共有する企業にコンピュータの記録と関連情報を要求できる。
ICOのElizabeth Denham局長は、声明で次のように述べている。「企業が保有する個人情報に対する請求権は、データ保護法の礎だ。Cambridge Analyticaがどのような個人データを保有し、それをどう分析したか、Carroll准教授らが知ることは重要だ」
Cambridge Analytica問題は、米大統領選挙と、不適切に共有された米国の大勢のFacebookユーザーに関するデータに、大きく関係していた。だが、米国ではCambridge Analyticaはペーパーカンパニーにすぎず、法的措置の有効性が減じる恐れがあるため、英国での法廷闘争を仕掛けることにした、とCarroll准教授の代理人は声明で述べている。また、米国のデータ保護法は英国のものほど厳しくないとも指摘した。
ICOがCarroll准教授の開示請求を支持したことは、知らないうちに自分のデータが共有された他の大勢のFacebookユーザーも、Cambridge Analyticaに対して情報開示請求ができる可能性があることを示している。
Cambridge Analyticaの親会社であるSCL Electionsは、30日以内ならICOの命令に異議を申し立てることができる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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