Amazonはそうした新技術を一連のハードウェアキットにまとめている。このキットは、同社の遠距離音声認識技術を多様なデバイスやフォームファクタに組み込めるよう、コンパクトなデザインに集約したプラグアンドプレイシステムだ。開発者や外部メーカーは、これらのキットのライセンスを受け、比較的容易に自社製品にAlexaを組み込むことができる。
AVSのディレクター、Priya Abani氏は「われわれはさまざまなコストおよび性能レベルのキットを提供している。これらのキットはテスト済み、品質検査済み、最適化済みだ。自社製品への音声搭載方法が分からない企業にとって、このキットは一定価格で製品化期間を短縮できるメリットがある」と語った。
Thompson氏はAnker製の「Eufy Genie」(「Echo Dot」に相当するAnkerのストアブランド製品)を例として挙げた。
「Ankerとの最初の打ち合わせから製品出荷開始までは7カ月だった。メーカーは音声やAI、機械学習の専門家である必要はない。自社製品の品質に集中できる」(Thompson氏)
現在いくつかのAlexa対応スマートホーム製品をEufyブランドで販売しているAnkerは、この陣営に参加して満足しているとみえる。
Ankerの広報担当者は、「Alexaは、単にわれわれの製品で活用できるサービスというだけではない。スマートホームとスマートライフをより多くの消費者の手に届けるための共有ビジョンであり、手段なのだ」と語った。
開発者の熱意を高め、サードパーティー製のAlexaガジェットを市場に浸透させるという戦略は、Alexaの魅力を多様化するのに役立っている。買い物をすれば、電球や電灯のスイッチから車やコンピュータ、冷蔵庫のような大型家電まで、あらゆるものにAlexaが搭載されていることに気づく。Thompson氏は、2016年末の時点では、消費者が購入できるAlexa搭載デバイスは10点だったが、現在は100点以上に増加したと語った。
Googleも、この市場でシェアを獲得しようとしている。今後発売される同社のサードパーティー製デバイスの中で最も注目すべきなのは、CES 2018で発表された「Googleアシスタント」搭載のタッチスクリーン付きデバイスだ。
GoogleでGoogleアシスタントのサードパーティーとの関係窓口を統括するChris Turkstra氏は、「Googleはエコシステム企業だ。われわれは、何十億ものデバイスで稼働するソフトウェアを作るために何が必要かを理解している」と語った。
GoogleのCEO、Sundar Pichai氏は2018年第1四半期の業績発表後の電話会見で、過去4カ月で200社がGoogleアシスタントのデバイスパートナーになり、すべての主要なコネクテッドホームデバイス企業がパートナーになったと語った。
今のところ、Googleはまだサードパーティーデバイスの量と多様性でAmazonに後れを取っているが、Kozak氏が指摘したとおり、Turkstra氏も市場にある膨大な数のAndroid搭載端末に言及し、さらにGoogleが2018年のCESやMobile World Congressなどのイベントで例年より大きな存在を示したことを指摘した。
つまり、Googleは「勝ちに行っている」とTurkstra氏は語った。勝負だ、Alexa。
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