ジカ熱やデング熱の対策にドローンを活用--28万匹の不妊化オス蚊を空中から放虫

 ドローンなどの技術を社会貢献にいかす取り組みを研究している組織、WeRoboticsは、蚊の媒介する感染症を防ぐ目的で実行される不妊虫放飼において、ドローンの活用を検討している。現在、蚊を実際にさまざまな高度から放って検証する試験をブラジルで実施中


不妊化したオスの蚊をドローンで放虫(出典:WeRobotics)

 蚊は人間の血を吸う際に、デング熱やジカ熱(ジカウイルス感染症)、ナイル熱、マラリア、日本脳炎といった感染症を広めてしまう。その結果、間接的ではあるが地球上でもっとも人間を死に至らしめる生き物として問題視されている。そこでさまざまな対策が検討されており、例えば吸血するメスの蚊だけをレーザーで撃ち落とす装置「Photonic Fence」のような試みもある。


バーチャル蚊帳「Photonic Fence」(上)は、飛んでいる蚊をレーザーで撃ち落とす(下)(出典:Intellectual Ventures Laboratory)

 蚊の根絶や個体数減少を目指す対策としては、不妊虫放飼法もある。これは、吸血しないオスの蚊を不妊化したうえで放虫することで、繁殖を妨げようというもの。今回のWeRoboticsによる試験は、放虫にドローンを使って効果を高めることが狙い。

 WeRoboticsは、DJI製ドローン「M600」に蚊の放虫装置を搭載し、複数の高度で放虫方法を変えて実験。空中で9回、地表で2回の放虫を実施し、合計28万4000匹の無精子オスを放した。その後、実験エリアで蚊を採取して調べたところ、計画通りの放虫ができていたという。


1つのケージに2500匹の蚊が入っている(左)。合計70万匹以上の蚊を育て、オスとメスに分ける(右)(出典:WeRobotics)

蚊を採取して効果を確かめる(出典:WeRobotics)

 なお、WeRoboticsは、国連食糧農業機関(FAO)と国際原子力機関(IAEA)の管理下で食糧および農業に対する放射線照射応用を研究する組織、Nuclear Techniques in Food and Agriculture(NAFA)のInsect Pest Control Laboratory(IPCL)と、共同で研究を進めている。

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