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メスの蚊だけレーザーで殺す「Photonic Fence」--マラリア阻止にMS元CTOが貢献

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 熱帯で患者の多い感染症であるマラリアによる被害を抑えるため、Intellectual Ventures Laboratory(IV Lab)はレーザーで蚊を撃ち落として感染拡大を防ぐ装置「Photonic Fence」の開発に取り組んでいる。蚊帳や殺虫剤、治療薬と併用する形で、マラリア対策の新しい手段として活用する考え。


バーチャル蚊帳「Photonic Fence」(出典:IV Lab)

 マラリアは、マラリア原虫が人に感染して引き起こす感染症。世界保健機構(WHO)の推定では、2012年に全世界で2億700万人が感染し、67万人が死亡した。人への感染は、マラリア原虫を持つ雌のハマダラカが吸血して広める。さまざまな対策がとられているものの、効果は限定的で、大流行を防いでいる程度だそうだ。

 ハマダラカが吸血する過程でマラリア原虫を媒介することから、IV Labはハマダラカの雌だけをレーザーで燃やして撃ち落とす装置の開発に着手。Photonic Fenceと呼ばれるこの装置は、カメラで撮影した映像からリアルタイムに飛行する物体を識別する。羽ばたきの速度、形状、大きさ、対気速度といったデータから蚊の雌であると認識したら、レーザーを照射して殺してしまう。蚊の侵入を防ぎたいエリアの周囲に配置すれば、目に見えない仮想的な蚊帳を設けることになる。


飛んでいる蚊をレーザーで撃ち落とす(出典:IV Lab)

 Photonic Fenceは、チョウやハチなどと蚊を区別できるだけでなく、蚊の雄と雌まで見分けられる。レーザーを照射する際も、標的の周囲にほかの虫や動物、人間がいないことを事前に確認する。そのため、雌の蚊以外に被害を及ぼさず、殺虫剤と違って周囲の環境に悪影響を与える心配もない。

Photonic Fenceが蚊を殺すようす(出典:IV Lab)

 IV Labによると、Photonic Fenceは雌の蚊を選択的に殺すだけでなく、ほかの昆虫を撃ち落としたり、どのような昆虫が特定エリアを飛行しているのか調べたりすることにも使えるという。例えば、畑を害虫の侵入から守ることや、昆虫の生息調査などにも利用可能としている。

 なお、IV Labは、かつてMicrosoftでチーフストラテジストおよび最高技術責任者(CTO)だったNathan Myhrvold氏が設立した企業。同氏は、現在IV Labの最高経営責任者(CEO)を務めている。


Myhrvold氏(出典:IV Lab)

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