オムロンは4月25日、近未来をデザインする研究会社として「オムロン サイニックエックス」(OSX)を新たに設立。4月26日から本格始動させると発表した。資本金は1.3億円(資本金:6500万円、資本準備金:6500万円)。代表取締役社長兼所長に諏訪正樹氏が就く。
オムロンは京都に本社を置くが、OSXは東京大学に近い角川本郷ビルにオフィスを構える。同じビルにある、人工知能技術や社会への影響などについて興味のある学生や研究者、技術者などが集う会員制のカフェ「ファイカフェ」も交流の場として活用する。
この場所を選んだ理由について諏訪氏は、「オムロンがこれから捉えていく革新技術にAI、ロボティクスは外せない。この拠点はAIを含めた人材の交流に比較的長けている。オープンイノベーションをスピーディに英知を活用するには適していると判断した」と説明した。
オムロン サイニックエックスでは、技術革新や社会変革を背景としたありたい未来像を構想し、事業・技術・知財などの視点で俯瞰、革新的な顧客価値の仮説を社会実装できるレベルで構想する「近未来デザイン」の実行および、近未来デザインの実現に必要となる技術革新の動向をいち早く捉え、新たなコア技術を創出することを目的としている。
同社では、オムロン サイニックエックスにおける研究を軸に、オムロングループにおける2020年度をゴールとする中期経営計画「VG2.0」で目指す売上高1兆円、営業利益1000億円の達成をはじめ、2020年以降の成長をけん引する技術や新規事業創出の加速を目指す。
また、オムロン サイニックエックスは、オムロンの考える近未来デザインを創出する戦略拠点だとしており、「AI」「ロボティクス」「IoT」「センシング」など、幅広い領域の最先端技術のトップ人財を研究員として採用した。
各研究員は、同社が注力する「FA」「ヘルスケア」「モビリティ」「エネルギーマネジメント」の4ドメインを中心に、各領域の社会的課題を解決するため、技術革新をベースに「ビジネスモデル」「技術戦略」「知財戦略」を統合し具体的な事業アーキテクチャーに落とし込んだ近未来デザインを創り出すという。さらには、大学や社外研究機関との共同研究を行い、オープンイノベーションによる近未来デザインの創出を加速させる。
同社は、これまで以上に技術開発、事業創出を通じて社会の発展に貢献していくため、2015年にCTOを設置。以降、技術革新をベースに近未来を具体的にデザインし、その実現に必要な戦略をバックキャストで明確に描き実行するオムロンユニークな「技術経営」の強化に注力している。
また、さらなる「技術経営」強化の一環として、2018年3月に「イノベーション推進本部」を設立。イノベーション推進本部は、オムロン全社のイノベーション創出力を向上するためのプラットフォームと位置付けられており、近未来デザインから戦略策定、事業検証までを一気通貫で担っているという。
また、これを支える組織として、「エッジ型AI開発センター(東京・品川)」「ロボティクス開発センター(米国・西海岸)」を設立。既存の「京阪奈イノベーションセンタ」をはじめとする研究開発拠点や各事業拠点が連携し、近未来デザインから戦略策定、事業検証、技術開発、商品開発までをオムロン全体で実行していくことで、イノベーション創出力の向上を推進する。
なお、名称の由来は、同社創業者の立石一真氏が1970年に発表した「社会のニーズを先取りした経営をするためには、未来の社会を予測する必要がある」との考えから、提唱され未来予測論の名称「サイニック(SINIC)」に、未知なる技術「エックス(X)」を組み合わせたものだ。
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