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感情のあるアンドロイドは“モノ”なのか--PS4「Detroit」開発経緯を聞く

佐藤和也 (編集部)2018年04月24日 14時38分
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 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は4月23日、5月25日発売予定のPS4用「Detroit: Become Human」(Detroit)のメディア向けプレゼンテーションを開催。メディア向けに序盤を試遊可能な状態で公開したほか、開発元であるQuantic Dream(クアンティック・ドリーム)創業者/CEOであり、本作の脚本とディレクターを務めたデヴィット・ケイジ氏が来日。本作について話を聞いた。

高度に発達した近未来の人間社会における、アンドロイドと人間との関わりを描いた作品となっている
高度に発達した近未来の人間社会における、アンドロイドと人間との関わりを描いた作品となっている

 Detroitは、AIやロボット工学の発達により、人間を超える知性や容姿を得た“アンドロイド”が実現したという、2038年の米国デトロイトを舞台にしたアドベンチャーゲーム。開発したQuantic Dreamはフランスに拠点を置くゲームメーカーで、英国アカデミー賞など数多くの賞を受賞した「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」をはじめ、「BEYOND: Two Souls」などといったアドベンチャーゲームを手掛けたことでも知られている。

舞台となる2038年のデトロイト
舞台となる2038年のデトロイト

人間そっくりのアンドロイド視点で描く人間社会の光と闇

 世界観として、人類史上最も便利な道具として生み出されたアンドロイドは、人間に代わりさまざまな労働や作業を担うことで経済が発展。かつてない豊かさを手にいれたが、その一方で、職を奪われた人々による反アンドロイド感情が高まるなど、社会には新たな軋轢と緊張が生まれ始めているという。街中のショーウィンドウにも“モノ”として陳列されているアンドロイドは、感情や意思などを持たないものではあるのだが、自らの意思で行動する“変異体”と呼ばれるアンドロイドも出現している。

街中にいるアンドロイドたち
街中にいるアンドロイドたち

 プレーヤーはメインキャラクターである3体のアンドロイドを操作する形で、物語が進行。特徴は、ゲームジャンルを「オープンシナリオ・アドベンチャー」とうたうシナリオシステム。プレーヤーの行動や選択、決断によってその場の状況が変化するだけではなく、物語自体の展開や結末にも大きな影響を与えていく。アンドロイドを自由に操作し、気になるところを調べていくといったことや、シーンによってはQTEと呼ばれる、画面上に指示が出た直後に特定のボタンやキーを入力をするなどアクションによって進行するイベントもある。

ある殺人事件の現場で、被害者のデータを調べるというワンシーン
ある殺人事件の現場で、被害者のデータを調べるというワンシーン

 例えば、父子家庭で働く家庭用アンドロイドの「カーラ」は、オーナーである父親が娘に暴力をふるおうとするシーンに直面。「そこを動くな」というオーナーの命令に忠実に従うことと、娘を守るという倫理的な行動の相反する選択の間で揺れるシーンがある。プレーヤーはどちらの選択をしてもストーリーは進行し、選択によってストーリー展開は違ってくる。ケイジ氏によれば、これまで手掛けた作品のなかで最も分岐の多い作品だという。

カーラ
少女をかばおうとするカーラ

 ちなみにフローチャートも用意され、どのような選択をとったか、そして分岐についても確認できる。これは物語を最後までプレイしなくても確認が可能。分岐の提示はネタバレにもつながる部分ではあるが、ケイジ氏によれば、これまで手掛けてきたタイトルにおいて、プレーヤーがストーリーの一部分を見ただけですべてを体験したように感じていることが残念だったことを背景のひとつとして挙げた。と同時に、Detroitは違う結末に進んでいくこだわったので、隠す必要がないからとした。実際、フローチャートを見てみると思いのほか分岐が多く、さらにその先にもストーリー展開があることがわかる。

 ケイジ氏は「10%の人しか体験していない部分があったとしても、人によって違う体験があること、自分が物語を作るという体験にこだわった。最初の1回だけは自分の心の赴くままにプレイしてほしい。それが自分の物語になる」と語る。

フローチャート
フローチャート

 プレイするなかでは、リアリティのあるグラフィックがより説得力を持つなかで、近未来としてありうるかもしれない、人とアンドロイドの関係性について考えさせられるシーンもある。メインキャラクターであるマーカスは、車椅子の生活を余儀なくされている老画家の世話するという、人間が理想として思い描くようなアンドロイドの姿がある一方で、街中では、アンドロイドに仕事を奪われたとされる人たちの抗議集会が行われている光景にも出くわす。

老画家の世話をするマーカス(右)
老画家の世話をするマーカス(右)

 ほかにも、もうひとりのメインキャラクターであるコナーは警察の捜査をサポートするアンドロイドで、冒頭では、少女を人質に立てこもるアンドロイドに交渉人として立ち向かうなか、少女の母親らしき人が交渉人がアンドロイドと知ると、交渉役を生身の人間にしてほしいと懇願する場面もある。

交渉人として立ち向うコナー
交渉人として立ち向うコナー

 これ以外にも、全般的にアンドロイドはモノとして人間との明確な壁があるうえ、社会の不満をぶつけられる存在であり、明確な差別や、人間が虐待するという“負”のシーンが描かれている。そういった姿をアンドロイドの視点で描き出しつつ、アンドロイドが持つ感情や人間に対する葛藤が見どころであり、考えさせるところにもなっている。

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