英国情報コミッショナー事務局のElizabeth Denham局長は現地時間4月12日、「FacebookとCambridge Analyticaをめぐるここ数週間の発覚は、注意喚起になった。人々は自分の個人情報に何が起きたかを気にかけている」と語った。だが、確かに人々は自分の個人情報に注意を向けるだろうが、平均的な人にとって、何が起きていて、どう対処すべきかを理解するのは非常に困難だ。
改善のための1つの方法は規制強化だ。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)の登場で、多数の企業が自社で保有する顧客情報について見直し、どの情報が本当に必要かを検討している。GDPRに違反すると高額な制裁金を科される可能性があるため、企業の技術者だけでなく、幹部らもデータセキュリティを優先事項と考えるようになるだろう。
ユーザーであるわれわれが、メーカー精神を取り入れ、奨励することも必要だ。例えば「Raspberry Pi」は、年齢に関係なくテクノロジを体験し、その構造を理解するための格好のプラットフォームだ。ITリテラシーの重要性を理解している企業は他にも多数ある。英国の新興企業Kanoもそうした企業の1つで、教育用キットを提供している。同社の最高経営責任者(CEO)、Alex Klein氏は、世界中に数十億のネットワークに接続したデバイスが存在するが、その仕組みや構造を理解している人はほとんどいないと主張する。同氏はそれを「かつてない大きな社会格差であり、情報の非対称性だ」と表現する。
われわれは、可能な限りそうした発見の精神を育む必要がある。プログラマー世代を育成する必要はないが、身の回りのテクノロジについて理解し、管理できる世代を育てなければならない。
テクノロジとのより良い関係の手本となるのは食品だ。学校教育で正しい栄養摂取と健康的な食生活について教えるように、テクノロジの仕組みとその賢い扱い方を学校が教えるべきだ。われわれは、食料流通が汚染されないよう管理しているのと同じように、情報の流れを理解し、プライバシーと正確性が維持されるよう管理できるようになる必要がある。そして、いつも出来合いの食品に頼るのではなく、好んでゼロから料理するように、プログラミングや端末の修理、少なくとも端末のアップグレードができる能力は役立つだろう。
1つ確かなことがある。テクノロジがわれわれのために動いているかどうかを本当に確認したいなら、よく考え、もっと理解し、大企業の前提に逆らって自分で使うものについてもっと責任を持つ必要がある。理解することが、現状を変えるための第一歩だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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