住宅ビルダーのSOUSEIは4月19日、スマートホームを実現するHome OS「v-ex(ベクス)」と、マイホームアプリ「knot(ノット) マンション版」を発表した。住まいのIoT化を推進し、より暮らしやすい住宅を目指す。
SOUSEIは、2010年に設立した住宅ビルダー。大阪に本社を構え、奈良県内における注文建築棟数でトップクラスの実績を持つ一方、2015年に住宅IT事業を開始。住宅に特化したITサービスの開発を手がけている。
代表取締役である乃村一政氏は「世の中には自分よりITに詳しい人がたくさんいるのに、どうして自分が欲しいと思うサービスがないのか」という思いからv-exの開発をスタート。また自宅を建てる時に感じた「物件探しや建築会社探しはネットを使うのに、契約した瞬間から、契約書など紙を渡されるやり取りは今の時代に合っていない」との思いがknotのきっかけになったと話す。
v-exは、自宅に設置することでエアコン、照明、テレビなどの家電を音声やスマートフォンアプリから操作できるHome OSデバイス。スマートスピーカと同様の機能を持つが、独自の拡張性を持っていることが特徴だ。
本体は薄型の四角いボックスで、本体にはUSB端子とHDMI端子を搭載。HDMI経由でテレビとつないで使用する。Android OSを備え、開発のベースはセットトップボックス(STB)。スマートスピーカ「Amazon Echo」と連携することで、家電の音声操作を実現する。
USB端子には、オムロン製のUSB型環境センサを接続することで、室内の温度、湿度、照度、気圧のセンシングが可能。これにより家の状態を管理でき、今後は空気の状態を計測することで、侵入者などによる変化を検知。セキュリティセンサとしての役割も果たす予定だ。
乃村氏は「ドアや窓にセンサを付け、スマートフォンなどに通知するのが今のセキュリティのスタンダードな仕組みだが、家には窓やドアが複数あり、それら全てにセンサを付けるのは、自分の中であまりイメージできなかった」とし、環境センサを活用したセキュリティシステムを考えたと説明した。
また、IoTデバイスとしては初となる決済システム「v-ex pay」も搭載する計画だ。乃村氏「スマートフォンでの決済は今や一般的になったが、スマートフォンではなくて住所(アドレス)にフォーカスするサービスを作りたかった。学区やゴミ出しの予定、検診のお知らせなど住所に紐づくサービスは多い。家に紐づくサービスを作り、決済もその場でできる、そんな未来を作りたい」と、今後について明かした。
一般向けではなく、すべて住宅関連会社を通して販売する。「v-exは家電ではなく、建材の位置付け。そこが今ある住宅向けIoTデバイスと最大の違い。建材なので、エンドユーザーに直接販売はせず、建築会社が設置し、アプリの設定もする。不具合が生じた場合のサポート体制も整える。通信機能付きの建材という新しいジャンルを作っていきたい」(乃村氏)と説明した。
knotは、家を建てるときに発生する書類や住宅会社とのやり取り、保険やメンテナンスなどの情報を一元管理できるマイホームアプリ。すでに戸建て向けのアプリをリリースしており、今回マンション向けの「knot マンション」の提供を開始した。
戸建て版同様に、書類管理や取扱説明書管理機能を備えるほか、マンションのエントランス部分に張り出されているお知らせをアプリ経由で通知する「掲示板」機能を装備。部屋の引き渡しまでの契約に関するやり取りや、引き渡し後の問い合わせなど、マンション会社と居住者のやり取りをチャットでできる「メッセージ」機能も7月に実装予定だ。
v-ex同様に、マンションデベロッパーや管理会社向けに販売する予定で月額料金は1棟に付き3500円〜。エンドユーザーは無料で利用できる。
「エンドユーザーに無料で提供できなければ、意味がないと思った。knotの導入が進めば、住民の困りごとやニーズが見えてくるはず。例えば、購入後1年して取扱説明書を見ていることがわかれば、それは何かが使いづらいということ。そうしたユーザー情報をストックすることで、新しいビジネスにつなげていきたい」と乃村氏は、knot導入による新たな営業手法の確立にも期待を寄せる。
SOUSEIでは同日、v-exを活用した実証事業で明和地所とパートナーとして連携することを発表したほか、あいおいニッセイ同和損害保険が開発する「らくっとネット手続き」とknotの連携も明らかにした。knotやv-exを取り扱うパートナー企業も増加しており、住宅ビルダーが作ったHome OSデバイスとマイホームアプリをサポートする輪は広がっている。
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