「いい授業とは何か」は生徒のデータが教えてくれる--高校2000校が導入する「スタディサプリ」 - (page 3)

西山氏:スタディサプリ、スタディサプリEnglishともにすべて自社で制作しています。

 スタディサプリの授業動画で講義を行う講師には元予備校講師など実績のある方が多いのですが、皆さん実績がある分授業の内容には自信をもっていらっしゃいます。そういう先生に対して、私たちが授業改善の提案をしても普通ならなかなか受け入れてもらえません。そこで、視聴ログなどを見せて「こういうデータがあるから、ここを改善したほうがいいのでは」と提案すると、とても素直に受け入れてくださいます。データというファクトを元にサービスを作れるのは、とても大きいと思います。今までわかりにくかったことが、データでわかるようになるというのが、非常に興味深いですね。

 ちなみに、スタディサプリの講師になる候補の方は、事前に授業のテスト撮影を行います。現在活動している講師の方々にチェックしていただいたり、ユーザーに視聴してもらったりして一定の評価を得られなければ正式な講師にはなれない仕組みになっています。

どんなに優れた教材も使われなければ価値はない

――最近は「教育テック(EdTech)」と呼ばれる市場が注目されており、市場参入する事業者も増えつつあります。こうした状況を踏まえ、今後はどのようにサービスを拡充していくのでしょうか。

西山氏:私たちは、実はEdTechという市場そのものはあまり意識したことがなく、シンプルに受講者にとって価値のあるサービスを低価格で提供できる手段が、スタディサプリにとってはITだったということだと考えています。今後もユーザーファーストでサービスを磨き続け、学習効果を生み出すサービスであり続ければ、私たちは市場で生き残っていけるでしょうし、それができなければサービスとして成立しないものであると思います。

 加えて、学習とはさまざまな学習手法を複合的に活用するハイブリッドなものであり、EdTechといわれる各サービスも、ユーザーにとってはツールのひとつだと考えています。スタディサプリも「サプリメント」という言葉が表すように、ユーザーの学習にとってはあくまでツールのひとつだと思いますので、私たちが良い教材を提供することで彼らの自己実現を支援できればいいですね。


笹部氏:スタディサプリを含めて、EdTechと言われるサービスやゲーミフィケーションと呼ばれる学習手法にはさまざまな教材やコンテンツがありますが、どんなに良いコンテンツを作っても、それらはユーザーに活用されなければ価値はゼロだと思うのです。

 そこで、重要になるのがコーチングだと考えていて、スタディサプリでは受講者のモチベーションを高めるためにシステム面、コーチの育成面の双方から、学習の動機づけにフォーカスしていければと考えています。教材は簡単に手に入れることができますが、教材を手に入れたらゴールに辿り着けるとは限りません。ゴールに辿り着くまでのプロセスを丁寧にサポートすることが、私たちにとっては非常に重要だと考えています。

西山氏:学びたいという強い意欲を持って自己実現を達成した人は、とても輝いていると思うのです。そうした若者をひとりでも多く増やすことが、日本や世界の未来を作ることだと考えています。スタディサプリを通じて、そのお手伝いをしていければ嬉しいですね。

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