インターネットには嫌がらせが起こりやすいという深刻な問題がある。調査会社のThe Extended MindとソーシャルVRプラットフォームのPluto VRが米国時間4月4日に発表した調査結果によると、その問題の一部が仮想現実(VR)の世界にも現れているという。
この調査では、少なくとも月に2回はVRを体験する600人以上のユーザーから情報を収集した。そして、仮想空間で他者と対話するときのユーザーの体験について、見慣れたものではあるが憂慮すべき調査結果が明らかになった。
女性回答者の49%は性的嫌がらせを受けたことがあると報告した。男性回答者の36%も同様の報告をした。
Pluto VRの共同創業者のForest Gibson氏は、「嫌がらせをめぐる諸問題を見るたびに、驚きとやっぱりかという気持ちの両方を感じる」と述べた。
性的嫌がらせを含む嫌がらせは、オンラインの既知の問題である。FacebookやTwitterといったソーシャルメディアプラットフォームは、ほかのユーザーに憎しみや悪意に満ちた言葉を浴びせるユーザーへの対処に苦慮してきた。2016年に大きな注目を集めた事件では、コメディアンのLeslie Jonesさんが嫌がらせによって、事実上Twitterから追い出された。Pew Research Centerの試算によると、41%の米国人はオンラインで嫌がらせを受けた経験があるという。
またVRは、デジタルの世界で見知らぬ人々からの不快な体験に新たな面をもたらす可能性がある。アバター同士がお互いの領域を侵すかもしれない。(VRでの)近接性が、誰かに不快感を与える新たな手口になるかもしれない。
Gibson氏は「誰かとビデオ通話をしているとき、その相手がカメラの方に身を乗り出しても、自分の個人的な領域が侵されているとは感じない」と述べた。VRとなると、話は別だ。「脳は何かが自分に近づきすぎていると感じる」(同氏)。
その例として、1人の回答者は、「テクスチャを見るためにしゃがんだら、すぐにほかのアバターが私の顔に『押し付け』られた」と述べた。
ほかにも、わいせつで性的なジェスチャーから、性的に露骨なメッセージ、ほかのアバターから体をつかまれたり、平手打ちをされたり、まさぐられたりしたことまで、さまざまな体験が報告された。
性的嫌がらせ以外の問題もある。女性回答者の17%、男性回答者の28%は同性愛を嫌悪するコメントや人種差別的なコメントを報告した。
さらに、これらの体験は嫌がらせではないと考える者もいる。
回答者の1人は、「ミュート機能を使えなかったり、ほかのプレーヤーは自分の『個人の境界線』を尊重する必要があると考えたりする人は、オンラインゲーミングに参加すべきでない」とコメントした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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