STUDIOは4月2日、コードを書かずにウェブサイト制作ならびに公開、運用を行うことができるデザインツール「STUDIO」の正式サービスを開始した。
STUDIOの特徴は主に3つ。まずウェブ上で容易に行えるデザイン機能。画像や文字は、ドラック&ドロップで好きな位置に配置ができ、プロのデザイナーが作成したデザインテンプレートも活用可能。また作成したデザインは、モバイルなどのさまざまなデバイスサイズに対応した、レスポンシブデザインになっている。
そして作成したデザインをウェブサイトとして公開できるパブリッシュ機能。専門的なプログラミングコードを書く必要はなく、ボタン一つで即座に公開できる。オリジナルのドメインを接続することも可能としている。
また、公開したウェブサイトを、チームで運営することかできるグロース機能も搭載。複数名のウェブ運用チームメンバーが、それぞれのアカウントを持ち、自由に更新することか可能。ほかにも分析機能を搭載し、効果検証を行いながらサイトを管理することもできる。
利用料金は、サービス利用ならびにサーバ費用込みで月額9ドル(日本円換算で約960円)。オンラインのデザインツールのみの利用であれば無料となっているため、気軽に試すことも可能となっている。
STUDIOの創業者であり代表取締役の石井穣氏は、サービス立ち上げの背景として、自身がこれまでデザイナー兼エンジニアとして経験したウェブ制作案件において、感じた課題解決のためと語る。学生のころにウェブの制作会社を自ら立ち上げ、クライアントワークをこなしたほか、個人旅行プラットフォーム「Travee」の開発や運営も手掛けていた(2016年にHISへ事業譲渡)。また、おなじく創業者でSTUDIO取締役の甲斐啓真氏も、UIデザインカンパニーとして知られるOHAKOの取締役を務め、デザイナー兼エンジニアとして活動していたという。
そんな2人が感じていたウェブ制作案件で感じた課題は、デザイン以外にかかる手間と煩雑さと指摘。「デザインを完成させたあとに、また1からコードで実装しなくてはいけないという手間がかかるうえ、開発(コーディング)は非常に難しく、時間がかかる。さらに実際のウェブサイトとして公開するにはコーディングだけではなく、サーバの立ち上げやドメインの設定なども行わなければならく、たくさんのことをしなければいけない。それらの課題を解決したく、STUDIOを立ち上げた」(石井氏)。
2017年4月には、オンラインデザインツールの形でベータ版をリリース。サービス開始から5カ月で、ユーサー数は1万人を突破。60%は海外からの利用者だという。また、ウェブプロダクトの最新トレンドを取り上げているメディア「Product Hunt」では、日本のスタートアップ企業で初めてとなる世界1位を獲得。デザインファーム「IDEO」が参画するD4Vから資金調達を受けている。
「D4Vとは、Product Huntに掲載される前に話をしていた。D4VはIDEOの創業者であるTom Kelly氏が会長として注力しているので、投資前にはIDEOとの打ち合わせも何度かあった。そこでIDEOが提唱しているデザインシンキングやヒューマンデザインなどの観点からも、STUDIOは非常に面白く、技術力も素晴らしいので投資を決定したとと言われた」(石井氏)。
STUDIOの活用は会社のホームページやポートフォリオ、イベントページ、飲食店などのウェブサイトなどを想定している。実際、ウェブサイト制作に社内の人員やコストを割く余裕がない企業や団体、フリーランスも少なくない。また、外注する場合のコストや修正などの追加対応も決して安価ではなく、気軽にはできない現状があると指摘する。
「STUDIOのミッションは『アイデアを誰でもカタチに』。アイデアがあってウェブサイトを作りたいと思ってもそれを実現するには、コーディングなどの技術的なことを学ばなくては実現できない。そんな人たちがデザインするだけで、自分のアイデアをカタチにできるようなサービスにしていきたい」(石井氏)。
なお、ブログ機能やEC機能の搭載も年内をメドに計画中。最終的には、ログインや投稿などの機能も搭載し、あらゆるウェブサービスをデザインのみで実現できるようにしていきたいとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス