Uberの自動運転車のうち、事故を起こした車両に搭載されていたLiDARは、Velodyneという企業のシステムだった。だが、VelodyneのCEOであるDavid Hall氏とプレジデントのMarta Hall氏は、同社のLiDARが事故の原因ではないという見解だ。
Marta Hall氏は電子メールで次のように述べている。「われわれも皆と同じように困惑している。この状況で、当社のLiDARがElaineさんと自転車の姿を明確に捉えていることは間違いない。しかし、ブレーキをかけたりハンドルを切ったりする判断は当社のLiDARが行うわけではない」
「データを解釈し、それに基づいて判断を下すのは、システムの残りの部分だ。事故を起こしたUberの車両にどんなセンサが搭載されていたのか、それが動作していたのか、どのように使われていたのか、当社は関知していない」と、同氏は付け加えた。
これまでほとんど、自律技術のテストでは自動運転車の安全性が実証されてきた。だが、まだ完成した技術ではない。車両テストの大多数は公道で実施されておらず、車はまだ運転技術を覚えている段階だ。
「車の運転というのは、機械的な反復学習のように見えるが、実はそうではない。ハンドルを握っているとき、私たちは複雑な意志決定と価値判断を繰り返している」。こう語るのは、ノートルダム大学メンドーザ・カレッジ・オブ・ビジネスの教育専門准教授で、自動運転車の専門家でもあるTimothy Carone氏だ。
自律システムが成熟し、例外的な状況への対応にも上達すれば、そうした複雑な意志決定も下せるようになるだろう、とCarone氏は言う。だが、そうなるにはまだ何年もかかる可能性がある、という指摘も忘れていない。
「社会が変化して、自動運転車、自動操縦飛行機、自動運転のトラックや列車、兵器などを次々と利用するようになれば、事故も起き続けるだろう」(Carone氏)
現在、Uberは車両テストを実施していた全都市で、自動運転車の走行を一時的に停止している。テンペのほか、フェニックス、ピッツバーグ、サンフランシスコ、トロントなどだ。
テンペ警察は、Uberの担当者や、米国家運輸安全委員会(NTSB)、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)と協力して、事故原因と責任者の究明に当たっている。Velodyneの担当者も、技術者や捜査官に「進んで協力」しているという。
San Francisco Chronicleの記事によると、テンペ警察署長のSylvia Moir氏は当初、暗がりから急に現れたHerzbergさんをよけるのは困難だったと述べていたという。
同氏が動画を見た限り、「被害者は暗がりから不意に車道に現れているので、(自律運転でも人の運転でも)どんなモードだろうと、この事故を避けることは明らかに困難だった」としたのである。
だが、後にテンペ警察はこの当初の見解を撤回し、まだ事故責任の特定には至っていないとした。
「Moir署長も、またテンペ警察としても、この事故の原因はまだ確定していないと改めて断言したい」、と同署巡査部長のRoland Elcock氏は声明で発表している。その上で、車両操作員による車両の取り扱いや、車両または車両操作員が未然に被害者を感知できた可能性について捜査を進めるとしている。
「結論は控える。捜査が終われば、結論は出るはずだ」。19日の記者会見で、Elcock氏はこう述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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