FB側では今回の件について、まずZuckerberg氏が経緯の説明や今後の対処の方針を記した投稿をFaceookで公開。続いて自身や最高執行責任者(COO)のSheryl Sandberg氏がNYT、Recode、Wired、CNNなどといった媒体に登場し、火消しに躍起になっていた。また現地時間25日には米英の主要な新聞に謝罪の全面広告を打っていた。
ただ、Zuckerberg氏が投稿で示した3つの対処策(サードパーティー製アプリの監査、サードパーティーによるFBユーザーデータへのさらなるアクセス制限、FBユーザーに対する個人情報利用の開示徹底とそのためのツール提供)は、いずれもこれまでに講じていて当たり前と思えるものだ。また、具体的な予定の期日が記されているものは3つ目に挙げたツール提供(4月に提供予定)だけで、何千とあるアプリの監査にどれほど時間がかかるのか、そのためにどれほどのリソースが必要となるのかといった見通しは示されていない。この点について、CNNのインタビューには、監査にあたる人員の数を現時点の約1万5000人から2万人以上に増やすといったZuckerberg氏の考えも示されているが、それだけの人員が本当に集められるのかなどは現時点では不明である。また「悪用の可能性を払拭できるまでは、選挙や政治に関わる広告は受け付けない」といった思い切った案が提示されているわけでもない。
さらに、CAによるデータ不正入手を許したという「過去の手落ち」に関して、誰がどういう形で責任をとるかといった話は出ておらず、釈然としない印象が残る。
米ソーシャル分野で事実上モノポリーとなったFacebookには、市場で圧力をかけられる競合他社がいない。また株式のデュアルクラス構造のおかげで、Zuckerberg氏が議決権の過半数を握っているため、株主やその代表である取締役会もFBに大きな変化を促す存在にはなり得ない。FBの株価はスキャンダル勃発以来10%以上値下がりしているが、証券アナリストの中には「かえって買い時」としてFB株の購入を顧客に薦める者もいる。
さらに、一部では「#deletefacebook」といったFBボイコットの動きも伝えられているが、FBアプリのダウンロード数を見る限り、多くのユーザーはほぼこれまで通りFBのサービスを使い続けている。そしてまた、広告出稿企業の方には「一定の費用対効果が見込める限り、FBを使い続けるだろう」という見方もある。
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