2016年の米大統領選でFB上に拡散したいわゆる「フェイクニュース」がTrump氏当選に一役買ったとの見方に対し、FBのMark Zuckerberg氏が「ばかげた考え」と否定していたこと、あるいはそのZuckerberg氏に対して同発言があった直後に、Barack Obama前大統領が直々に「フェイクニュースの脅威をもっと深刻に受け止めてきちんと対処しないと大変なことになる」といさめていたという話が流れていた。
今回のスキャンダルで改めて思い出されたのが、このZuckerberg氏の発言ににじみ出ていたFB関係者のナイーブさ、あるいは認識の甘さである。
今回のデータ不正流用のきっかけとなったのは、英ケンブリッジ大学に籍を置くAleksandr Kogan氏という研究者がFBで配布した「thisisyourdigitallife」という性格診断のアプリ。性格診断のクイズに解答したユーザーが約27万人、それに対してKogan氏が回答者のソーシャルグラフを通じて芋づる式に集めた個人データは5000万人分以上だという。そうした悪用の危険性をはらむ仕組みを実装し、一時的にせよサードパーティーに公開していたFBの脇の甘さが改めて浮き彫りになった格好だ。もっとも、膨大なデータを引き出したのも、引き出したデータを勝手にCAに売り渡したのもKogan氏のやったことで、FB自体もある意味被害者といえないこともない。ただし、このデータ流出に2015年時点で気付きながらそれを公表していなかった点、あるいはKogan氏ならびにCAにデータの完全削除を求めただけで、本当に削除されたかどうかまでは確かめなかった(CAらの「削除した」という自己申告を信用した)という点は明らかにFBの落ち度である。またZuckerberg氏自身もRecodeとのインタビューで、この点は間違いだったと認めている。
なお、FBは2011年11月にユーザーのデータ保護に関して米公正取引委員会(FTC) から出されていた改善要求に同意していた。
今回の落ち度あるいはサードパーティーへの監督不行届が、この同意条項の一部に抵触するかどうかについては、すでにFTCの調査が始まっているが、最終的にどうなるかはまだ分からない。
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