文部科学省は総務省や経済産業省、IT関連企業と連携して、2017年3月公示の新学習指導要領に対応するため、「未来の学びコンソーシアム」を2017年3月9日に立ち上げた。同年12月26日には、文部科学省内に「未来の学びコンソーシアムプロジェクト推進本部」を設置し、事務局体制を構築している。
「未来の学びコンソーシアム運営協議会」は、プログラミング教育の推進を目的に、情報発信のためのポータルサイトを刷新するとともに、教育現場への積極的な情報共有を進めていく。3月8日に会見した。
政府がプログラミング教育を推進する背景には、将来予測が困難な現代社会を取り巻く状況がある。これから大人になる子どもたちは、以前から重視していた読解力や理論的、創造的思考とともに、教育課程を通じて情報化社会に適用するための能力を身に付けなければならない。
米国では2000年代から「科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)」の頭文字からなる「STEM」教育を推進しており、米国カリフォルニア州では学校裁量に任しているものの、初等教育ではScratch、中等教育ではJava、C/C++などを用いて具体的なコーディングを学んでいる(2015年文部科学省調査)。
だが、日本の教育現場も負けてはいない。
小学校の4年生を対象にした授業では、フローチャートにアクションパーツをドラッグ&ドロップする非コーディングプログラムを実施し、完成したコードはUSB転送でロボットに転送する授業を実施している。ある中学校の3年生は、交差点の信号機プログラミングをC言語で書き、制御用ICに書き込んで再現した。授業内では条件分岐や繰り返し処理を学んでロジカルな思考力を身に付けることを目標としている。
このようにプログラミング教育の重要性を踏まえた政府は、2020年度から実施する新学習指導要領にプログラミング教育を含む情報活用能力を重要事項として加えた。これが俗にいう「小学校プログラミング教育」だ。
冒頭で述べたように文部科学省は総務省と経済産業省とともに、未来の学びコンソーシアムを立ち上げていたが、教育現場やICT教育業界からのフィードバックを踏まえ、3月8日から幹事会と事務局を1つにまとめた推進本部と推進チームを設けた。
推進チームのリーダー代理に就任したプログラミング教育戦略マネージャー 中川哲氏は、「(プログラミング教育に伴う)情報収集と関係者によるネットワーク形成、(プログラミング教育)事例の情報を発信するポータルサイト『未来の学びコンソーシアム』を刷新する」と説明する。
中川氏は小学校プログラミング教育実施を2年後に踏まえた現状に対して、「(プログラミング授業に)取り組まなければならないが、確固たるアイデアを持てず、消極的な先生も多い。能動的、率先して取り組む先生は全体の10%にも達していない」と説明した。
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