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失敗しないAI活用、変革を起こすポイント--NECのデジタルトランスフォーメーション - (page 2)

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OCRからスタートしたNECのAI技術

 これまで紹介された"変革”には、NECのAI技術が利用されている。中尾氏は、AI技術についてさらに詳しく説明した。

 まずNECのAIに対する取り組みの歴史についてだ。1960年にOCR(Optical Character Recognition/Reader)の開発を開始し、同じ考え方で指紋認証、顔認証へと進んできた。SVM(Support Vector Machine)、ディープラーニングへの取り組みは2000年ごろに開始された。

 そしてNECは2016年に最先端AI技術群「NEC the WISE」というブランドを発表した。「あくまでもヒトを中心として、ヒトの知的創造活動を最大化するものだ」と中尾氏は述べた。

 実世界のデータを「見える化」「分析」「対処」する。見える化は「デジタル化・デジタル良質化」と「五感による識別・認証」、分析は「意味・意図理解」と「解釈付き分析」、対処は「計画・最適化」だという。


NECのAIに対する取り組みの歴史

AI技術群「NEC the WISE」

 NECが開発しているAI技術の一つ「顔認証」について説明。静止画の顔認証から動画の顔認証へと移り変わり、現在では好環境(乗客ゲート)でも悪環境(競技場)でも圧倒的な性能だという。3000万件/秒で処理できる。

 さらに、分析AIについても説明する。ディープラーニングである「RAPID機械学習」は、入力データを入れると良い予測結果が得られるが、どの入力データに起因して良い予測結果が得られたのかがわからない。これをNECでは"ブラックボックス型"と呼んでいる。この仕組みは、AIに任せられる画像音声認識や株式売買などの問題に適用しているという。

 対して、「異種混合学習」は入力データのどのパラメーターがどの予測結果に効いたのかわかる"ホワイトボックス型"だ。最終的に人が判断してどういう対応をするかが必要な問題に適している。「AIを適切に使い分けて活用していくことが重要」と中尾氏は語った。


ホワイトボックス型とブラックボックス型の分析AI

AI活用はゴールではなく成果から考える

 では、実際にAIを活用し変革を起こすためにはどういうポイントが重要になるのか──。中尾氏は、調査結果を示し、期待している企業は88%いるのに実情は4%しか使いこなせてないという。

 中尾氏は、「AI活用は、仮説検証+改善/誘発が基本」だと語る。「データが変われば結果も変わる。そして環境や欲しい属性によってその定義自体も変わっていく。典型的な問題として、ゴールが曖昧であることが多い。何を得たいのか、何をしたいかが曖昧なままスタートせざるを得ないのがAI活用だ。考えて試して運用して、の繰り返しだ。その中で新しいプランが生まれたら、同時並行して早く動くことがAI活用には不可欠だ」。

 新たなプランによりプロジェクトが迷走することを避けるには、2つポイントがあると中尾氏は述べる。「ひとつは成果から考えること。まず事業目的を考え、その成果(業務拡大、課題解決)を考える。そのためにICTではどういう価値を出さなければいけないのかを考える」。

 「もうひとつは、AI活用をライフサイクルで捉えること。調査、企画、検証、導入、活用するところまで順序立てて進めれば失敗しない」と中尾氏は、ライフサイクルの図を示した。


AI活用のライフサイクル

 中尾氏はライフサイクルに基づいてAI活用を進めた事例を紹介した。

 ある小売業では、冷蔵機器などの設備監視にNECのAI技術を活用を目指している。これまでは店員が気づいたら保守員に連絡して対応していた。それをデジタル監視するようにし、さらにAIで故障の予測まで行えないか検討している。

 「保守員は計画的にメンテナンスでき、店舗は店員の業務が減る。お客から見ると、この店舗はいつ行っても安心してサービスが受けられることになる。40年にわたって"近くて便利"を提供してきたセブン-イレブン・ジャパンのノウハウと、NECの知見を生かして、店舗運用を高度化する。さらに検証してライフサイクルを回していく」。

 中尾氏は最後に、「デジタルトランスフォーメーションはデジタルを用いたビジネスの変革である。AIが最重要要素で多種多様な変革が今後も次々と起こる。技術はもちろんだが、ビジネス/ICTのノウハウ・知見が重要」と講演を締めくくった。

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