Amazonのスマートドアロックは、万人受けするものではない。IoT製品に脆弱性はつきものだし、悪用されれば玄関のドアが開きっぱなしになる(あるいはエラーによって全く解錠できなくなる)可能性がある端末など、とうてい受け入れられないという人が多い。
それに、ドアの管理を任せきりにしたくない人は多いだろうし、不在中に他人を家の中に入れるというコンセプトはハードルが高い。
だが、Ringであれば、すぐには明確な形にならないだろうが、Amazonに別の機会を与えられるかもしれない。
Amazonは家の中だけでなく、車のトランクに配送するシステムも検討しているとみられる。
Amazonが提供するサービスは年々拡大しているが、それにつれて損失も増加している。米国では、不在時に配達業者が玄関先に置いていった荷物を盗む「ポーチパイレーツ」は深刻な問題で、消費者の31%に荷物を盗まれた経験があるという2017年の調査もある。
配送物の紛失と盗難は、Amazonの売り上げを減らす。eコマース大手である同社から金を巻き上げる目的で、「盗まれた」と虚偽の報告をする人もいる。
だが、もしAmazonが顧客の玄関を監視できれば、これらの問題を減らせる可能性がある。
顧客にRing(同社の企業名とブランドは今後も存続する見込み)の利用を促すことができれば、不在中でも自宅を監視できるようになり、玄関先での窃盗の数も、Amazonへの製品交換の要求も、売り上げ減少も減るだろう。
AmazonはRingシステムのインストールを値引きするかもしれないし、Amazonプライム会員にさらに割引を提供することも考えられる。
さらに、AmazonがRingの技術を配送担当者や荷物そのものの監視に採用する可能性もある。
Amazon Keyは万人受けしないが、Amazonに監視させることなら妥協できるかもしれない。そうすれば、Amazonはいつか、配送者を顧客の家の中に入らせるのではなく、顧客の代わりにポーチパイレーツを検知して撃退するようになるだろう。
これはAmazonにとって利するだけでなく、荷物が届いたのか、どこにあるのか、帰宅するまで玄関先にあるのかを知りたい消費者にとっても魅力的だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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