サムスンは、今週バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2018」で、「Galaxy S9」と「Galaxy S9+」を発表した。カメラ機能を強化したという触れ込みで、同社のフラッグシップスマートフォンの新型となる。そうなると、次の大きな疑問は、Galaxy S9とGalaxy S9+がアップグレードに値するかどうかだ。
購入の決定を左右する要因を、ここでまとめてみよう。
サムスンがGalaxy S9とGalaxy S9+でやろうとしているのは、カメラ体験を再定義することである。テクノロジは生活を変えるが、それが起きるのはイノベーションが実際に人々の手に届いてからだと、同社のITおよびモバイル通信担当幹部DJ Koh氏は言う。Koh氏は、ユーザーをクリエイターと呼んでいる。「スマートフォンの最も重要な機能は、通話ではない。つかの間の一瞬を写真におさめ、ある瞬間を動画で共有することだ。(2017年に)スマートフォンで撮影された写真は、1兆2000億枚にも上る」。同氏はそう指摘し、カメラのアップグレードが突破口になると述べた。
サムスンによると、Galaxy S9とGalaxy S9+はコネクテッドライフを管理できるともいうが、結局のところ、重点的な売り文句は、カメラと、少ない光量でも撮影できる機能である。カメラは、独自のDRAMプロセッサとデュアル口径を採用し、あらゆる照明条件に対応する。
そして、指紋スキャナの位置も改良されている。「Bixby」の新しい機能は興味をそそるが、買い替えの理由にまではならないかもしれない。IoTデバイスを操作できる「SmartThings」アプリ、虹彩スキャンと顔認証を組み合わせた「Intelligent Scan」も同様である。結局、大方の人にとってGalaxy S9とGalaxy S9+で重要なのは、カメラの機能向上と、指紋スキャナの位置の改良ということになるだろう。
どちらのモデルも、最新の「Qualcomm Snapdragon」プロセッサを搭載する。サムスンがカメラの機能向上を誇る大きい理由のひとつが、このプロセッサだ。仕様上すぐに気がつく大きな違いは、デュアルカメラがGalaxy S9+には搭載され、5.8インチのGalaxy S9には搭載されていない点にある。Galaxy S9+は、「Galaxy Note8」に続きデュアルカメラ搭載のフラッグシップモデルになる。主な仕様は以下のとおりだ。
サムスンは、Galaxy S9とGalaxy S9+の価格設定を、「Galaxy S8」および「Galaxy S8+」並みに抑えている。
IHS MarkitのアナリストGerrit Schneemann氏とWayne Lam氏は、次のように指摘している。
フラッグシップの価格設定が功を奏するかどうかが、2018年のサムスンにとって極めて重要になるだろう。スマートフォン市場全体の成長率が3.9%のプラスと予測されるのに対して、サムスンがポートフォリオ戦略を変えない限り、2018年の同社の出荷台数は2.6%のマイナスになると予測される。S9とS9+で前モデルのデザインをほぼ踏襲したのは、2017年のデザイン言語が引き続き購買層の好みに合致すると当て込んでいるためだが、同時にサムスンは、買い替えに値するだけの新機能を追加してきた。
キャリア各社と小売店によるGalaxy S9とGalaxy S9+の価格は、下取りサービスを利用することでお得になる場合がある。各種の小売店を回ってみれば、自分のスマートフォンの価値を確かめ、新型モデルとの差額を割り出せるだろう。
Galaxy S9+の機能の多くは、Galaxy Note8でソフトウェアをアップデートすれば利用できる。Galaxy S9+でカメラの技術は強化されたかもしれないが、それ以外の機能は買い替えを促すほどではない。
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