サムスンは、Galaxy S9とGalaxy S9+にデュアル口径カメラを搭載し、虹彩スキャナと顔認識スキャナも強化している。価格帯はiPhone Xを下回るので、有利になる可能性は高い。
一方、GoogleのPixel 2は、カメラこそ1つだが、ソフトウェアと機械学習によって技術の進化を図っている。
もうひとつ注目すべきなのは、Galaxy S9とGalaxy S9+にとって、Huawei(ファーウェイ)、Nokia、LGといったAndroid搭載端末を提供する他社との競合がどうなるかだ。多くのスマートフォンメーカーがピュアなAndroid体験をセールスポイントにしている。Galaxy S9とGalaxy S9+は、Nokiaのようなメーカーのスマートフォンとも競合することになる可能性がある。
エンタープライズ向けデバイスとしては、Galaxy Note8がビジネス用フラッグシップとして位置付けられてきた。だが今回は、Galaxy S9に「Enterprise Edition」が用意された点が異なる。エンタープライズ向け戦略として使われるのは小型の方のGalaxy S9で、アプリなどのカスタマイズや、IT部門による一元管理機能の強化といった点が追加される。Galaxy S9+にエンタープライズ版はなく、業務用途を任されるGalaxy S9が、Galaxy Note8のエンタープライズ版に続くことになる。
Googleが、エンタープライズ向けに「Android Enterprise Recommended」プログラムを立ち上げており、当初からサムスンをプログラムから除外していることも注目に値する。
Galaxy S9 Enterprise Editionには、次のような機能がある。
Galaxy S9とGalaxy S9+で提供される有力な機能が、デスクトップの操作性を実現する「DeX Pad」だ。サムスンによるとDeX Padは、エンタープライズ向けシンクライアントになりうる性能を備えた端末に、すっきりした設計を提供するものだという。その中核になっているのは、端末を持ち込んでドックに接続し、あらゆるポート(USB Type-Aポート2基、HDMIポート1基、USB Type-Cポート1基、イーサネット)を使えて、デスクトップの代用にできるというコンセプトだ。DeXは他のデバイスでは使用できないシステムであり、サムスンはこのアプローチにこだわっている。スマートフォンをドックに接続してデスクトップの操作性を実現するという形が理想的なのであれば、DeXがGalaxy S9やGalaxy S9+に買い替える動機になるかもしれない。
DeXの目立った成功実績はまだないが、サムスンは今後もこのプラットフォームにこだわるとみられ、その根気が最終的にはDeXを成功に導くということも考えられる。
サムスンがハイエンド端末の戦場にいるのは間違いないが、ローエンドスマートフォンも機能とカメラ性能で追いつきつつあり、Googleによるソフトウェア体験も向上している。自分が必要なのは、Galaxy S9やGalaxy S9+なのか、HuaweiやNokiaなどが提供する価格を抑えたスマートフォンなのか。あるいは、ソニーの「Xperia」が適しているのだろうか。最高級対ミドルレンジの価格帯での競争は、今後も続くだろう。スマートフォンのイノベーションは、停滞の時期にあると言える。サムスンはある程度それを感じ取っているだろうし、Appleも同様のはずだ。真の価格競争は、Androidエコシステムの中で繰り広げられることになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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