YouTubeのトップトレンド動画の座を獲得するのは通常、音楽か、映画の予告編か、おもしろ動画だ。
しかし米国時間2月21日早朝、同サイトはいつになく暗い雰囲気に包まれていた。先週フロリダ州の高校で多数の死者が出た銃乱射事件で生き残った一人であるDavid Hoggさんを、「クライシスアクター」として非難する動画が第1位となったのだ。Hoggさんに関するYouTube上のそのトレンド動画は、アップロードされてから22時間で20万回以上視聴された。
その後、21日の午前中にYouTubeはその動画を削除した。その動画には、2017年8月にCBS Los Angelesが放映した映像が使われていた。その映像は、カリフォルニア州のレドンドビーチで家族旅行中に、Hoggさんの友人の1人と水難救助員の間で起きた事件の様子を撮影したもので、その中にHoggさんが写っていた(CBSは米CNETの親会社)。
その動画は「急上昇」に表示されるべきではなかったと、YouTubeは述べた。
「その動画には、権威ある報道局の映像が含まれていたため、当社のシステムが分類を誤った」とYouTube関係者は述べた。「当社のポリシーに違反しているため、気づいた時点でその動画を『急上昇』とYouTubeから削除した。今後はシステムの改善に取り組んでいくつもりだ」(YouTube関係者)
フロリダ州パークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で2月14日に起きた元生徒による銃乱射事件の後、生徒らによって銃規制の強化を求める抗議の行進「March for Our Lives」が実施され、17歳のHoggさんはその主催者の1人だった。公の場での発言以降、Hoggさんは、インターネット上にあふれる陰謀説の標的となり、「クライシスアクター」として非難されるようになった。つまり、政治的利益を得ようとする何者かに金銭を支払われて、悲劇の犠牲者を装っているというのだ。
CBS Los Angelesは、Hoggさんが同校の学生であることを確認している。また、Hoggさんの父親は米連邦捜査局(FBI)の元捜査官だった。
「みんなは僕が犠牲者を装っていると思っている」とHoggさんはCBS Los Angelesに語った。「でも、そんなことを気にしている時間は僕にはない。僕は続けなければならない」(Hoggさん)
なぜ突然自分が憎悪の対象になっているのかわからないともHoggさんは述べた。
「僕は事件を目撃した。なのになぜみんな僕にこんなことをするのかわからない。僕は適切に伝えようとしているだけだ。政治家がやってくれないから」とHoggさんは述べた。
このような陰謀説は21日、InstagramやFacebookにもあふれた。Facebookのコンテンツポリシー責任者であるMary deBree氏は、「先週フロリダ州で起きた悲劇の犠牲者を攻撃する作り話の画像は許しがたいものだ」と述べ、同社プラットフォームからこうしたコンテンツを削除しているとした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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