筆者が着用しているライダースジャケットは、外からは完全に普通のジャケットに見える。
だが、内側には巧妙な安全機能が隠されている。伊Daineseの「D-air」システムは、衝突しそうになると検知して、ジャケット内部のエアバッグが膨らむようになっている。これが着用者の胴体と肩、背中を覆うことにより、ケガを防止する。
これと同じ技術が、平昌五輪のアルペンスキー滑降競技でも、一部選手のケガ防止に利用されている。スキー選手用バージョンの「D-air Ski」は、ライダースジャケットではなく、スパンデックス繊維でできたスキースーツの下の保護用バックプレートに組み込まれている。
この製品は加速度計とジャイロスコープ各3個とGPSを備える。コントロールユニットがセンサからの信号を毎秒1000回モニタリングして差し迫った衝突を検知する。
その秘密兵器となるのは、衝突が今まさに起きようとしていることを判断するアルゴリズムだ。ただし、オートバイの走行とスキーでは動きが異なるので、それらの間でアルゴリズムを微調整する必要があったという。
「オートバイで衝突した場合は明確に判別できる」と、DaineseのエグゼクティブバイスプレジデントであるRoberto Sadowsky氏は、サンフランシスコにある同社ショールームでこの技術のデモを披露した際に説明した。
滑降競技では滞空時間が長くなることがあるが、アルゴリズムはそれを衝突ではなくジャンプと判断する。同氏は、「われわれのアルゴリズムの開発方法は極秘事項だが、そのアルゴリズムはほぼ100%の確率でうまく機能することが証明されている」と話す。
エアバッグは45ミリ秒(ミリ秒は1000分の1秒)で開き、エアバッグのみの重量は約800gだ。アルペンスキーワールドカップに出場したオーストリアやイタリア、カナダのスキー選手や、平昌冬季五輪のアルペンスキー米国代表であるLindsey Vonn選手(2010年バンクーバー冬季五輪滑降の金メダリスト)によって、既に使用されている。
スキー競技用の「D-air Ski」は一般向けには販売されていないが、オートバイ用のジャケットは約1800ユーロ(約23万8000円)で購入可能だ。エアバッグは1回のみ使用可能で、開いたものは交換する必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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