パナソニックは「トレーニング家電」として提案する「コアトレチェア EU-JC70」の技術説明会を開催した。コアトレチェアは、2016年11月に発表された体幹トレーニング機器。チェア型の本体にモータやエアバッグなどを搭載することで、「3D V字駆動」ができ、体幹を効果的に鍛えられる。2月下旬に想定価格30万円前後で発売を開始する。
パナソニックでは、乗馬フィットネス機器「ジョーバ」(現在は生産終了)を手がけており、コアトレチェアはジョーバをベースに、よりトレーニング力を向上させ、使いやすい形へと進化したもの。ダイエットなどのフィットネスを用途に据えていたジョーバに比べ、コアトレチェアは、筋トレ習慣を身につけることで、60~70代と高齢になっても健康な体の維持を目指す。
「超高齢化社会と言われる日本の平均寿命は83.7歳。それに伴い社会保障給付費は拡大しており、2025年には、75歳以上の1人あたりの医療費が年間98万円にのぼると予測されている。この負担増を軽減するために必要なのは健康寿命を伸ばすこと。この部分にパナソニックとして何ができるか考えた結果、発売したのがコアトレチェアだ」とパナソニックアプライアンス社 ビューティ・リビング事業部課長の川治久邦氏は開発の背景を話す。
その際、重要だったのが家庭でのトレーニング習慣を実現すること。馬の背の形をデザインしたジョーバは「座るのがこわい」「またぐのが手間」といった声が寄せられたいたこともあり、座りやすく、安心感のあるチェア型を採用したという。
トレーニングは、ジョーバで「8の字」だった動きを、コアトレチェアでは前後方向への負荷がかけやすくお腹まわりへの刺激効果が高い「3D V字動作」へと進化。前後スイング、前後スライド、左右スイングと3つの動きを再現できるエンジンを開発した。
新エンジンにより前後左右に重心をずらす動きを実現。大阪電気通信大学医療福祉工学部理学療法学科教授の小田邦彦氏によると「身体が傾いても頭部が鉛直であれば、身体が頭に合わせようと立ち直ってくる。この反射が誘発されるような刺激を与えれば、身体が自然に反応する」と、身体の軸をずらすことで、体幹の反射運動を誘発できると話す。
コアトレチェアには「全身コアトレ」「おなか・ウエスト」「下腹・骨盤底筋」と3つの自動コースにそれぞれ強・弱を用意。各コースはスポーツトレーナーである木場克己氏が監修し、トレーニング中は本体スピーカから「両手を胸にあてる」「足を広げる」など動作を指示してくれるほか、「背筋を伸ばす」「頭を動かさない」といった注意が声で流れる。
通常の椅子に腰掛ける形でトレーニングができるほか、座面がエアバッグにより立ち上がり、またいだ状態でもトレーニングができることで、お腹周りと骨盤周りの両方を鍛えられる。エアバッグはチェアの左右にも内蔵しており、骨盤部をしっかりと固定できるという。
木場氏は「深層筋から表層筋までしっかりとトレーニングできるプログラムになっている。怪我をしやすい選手はインナーマッスルを鍛えないとだめ。通常のトレーニングでインナーマッスルを鍛えるのは、トレーナーがしっかりと動きを修正していかなければならず、これはすごく大変な作業。コアトレチェアはそうした動きを椅子に座ることで実現している」とトレーニング内容を説明した。
コアトレチェアが目指すのは”自宅で続けられるトレーニング”。そのため、手元に操作パネルを置くことで、操作のしやすさを追求したほか、高さ74cm×幅70cm×奥行き95cmで、重量約50kgと本体もコンパクト。自動トレーニングコースは約15分ほどで、5分、10分でできるコースも用意。トレーニング前に効果を高める「ストレッチコース」も装備する。
商品モニターが使用したところ「効果は100%出ている」(木場氏)とのこと。椅子にしっかり座れる人であれば幅広い年齢層で使うことができ、その効果は男女ともに出ているという。
パナソニックのヘルスケア事業部は、マッサージ、計測機器に続き「新たな柱」にトレーニング家電を据え、取り組んでいくという。
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