孫社長が明かす「ソフトバンク上場準備」の狙い

 ソフトバンクグループは2月7日、2018年3月期第3四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比3.5%増の6兆8113億円、営業利益は前年同期比23.6%増の1兆1488億円と、今四半期も増収増益の決算を記録した。


決算説明会に登壇するソフトバンクグループの孫正義社長

 業績の伸びをけん引しているのは米通信子会社のSprintで、売上高は前年同期比2%減の243ドルと伸び悩んだものの、10億ドルものコスト削減が功を奏し、営業利益が前年同期比92%増の25億ドルと大幅に増加。さらに米国の税制改革の影響による繰延税金負債の取り崩しによって純利益も大幅に伸び、ソフトバンクグループ全体の純利益押し上げにも貢献した。


業績をけん引している要因となっているのはSprint。コスト削減強化と米国の税制改革の効果が大きく影響したようだ

 今後もSprintはインフラ改善を進めていくとしているが、同社代表取締役社長の孫正義氏が期待するのは次世代のモバイル通信規格「5G」のようだ。孫氏は同日に開催された決算説明会で、Sprintが多くの帯域幅を保有している2.5GHz帯が「5Gで活用できる帯域に決まった」と話し、2019年前半には5Gを用いたネットワークの提供を進めるとしている。


Sprintでは2019年より、潤沢に保有している2.5GHz帯を活用した5Gの通信サービス提供を進めていくという

「世界最大のライドシェア」がグループ入り

 孫氏はヤフー、ARM、アリババといった主要企業の業績を紹介し、いずれも好調であることを強調したほか、投資会社フォートレス・インベストメント・グループの買収についても言及。だが、最も大きな経営の鍵としているのが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドを中心とした投資事業であるという。実際、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、主にNVIDIAの評価益によって2364億円もの利益押し上げに貢献するなど、ソフトバンクグループの利益拡大に早くも貢献している。

 そうした投資事業の中でも今回、注目を集めたのがライドシェア大手である米Uberへの出資である。ソフトバンク・ビジョン・ファンドは同社に対して約77億ドル、日本円で約8400億円もの投資を実施し、15%の議決権を保有する筆頭株主になった。


投資事業では米Uberへの出資が大きなトピックとなった。Uberの獲得によってソフトバンクグループは世界的なライドシェアプラットフォームを持つこととなる

 ソフトバンクはUberだけでなく、中国の滴滴やインドのOLA、インドネシアのGLABなど主要なライドシェアサービス企業に、さまざまな形で筆頭株主として出資しており、「世界最大の交通機関をわれわれのグループで持ったことに匹敵する」と孫氏は評価。その上で、今後は自動車が現在のPCのようにコモディティ化する一方、クラウドサービスのようにそれを部品として使うプラットフォーム企業が交通の分野で大きな価値を持つのではないかと、ライドシェアサービスの将来像について語った。

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