孫社長が明かす「ソフトバンク上場準備」の狙い - (page 2)

携帯子会社を上場させる狙い

 孫氏は今後のソフトバンクのあり方についても言及した。これまでITの分野では、業界を支配して成長し続けてきた企業であっても、その成長が30年で止まってしまう限界を抱えていたと話す。その理由として孫氏は、「起業家自体が年を取り、ブレイクスルーとなったテクノロジやビジネスモデルが古くなってしまうため」と指摘する。

 それに対し、孫氏は300年成長し続ける組織を作りたいと話し、その答えが「群戦略」だと話す。これは財閥のように企業をグループの中に抱え込むのではなく、20〜30%程度の出資でその分野でのナンバーワン企業との提携関係を作り上げていくという戦略。群戦略であれば弱者連合を生み出すこともなく、1つの事業に依存して長期的にビジネスモデルが古くなってしまうこともないと、孫氏は考えているようだ。


300年続く経営体制を取るため、ソフトバンクグループではナンバーワン企業と緩いつながりを持つ「群戦略」を推し進めているという

 そうしたことから孫氏は、ソフトバンクグループを「戦略的持株会社」と位置付けるとともに、国内通信事業を手がけるソフトバンクの上場準備を開始することを明らかにした。「親子上場はルール違反ではないかと言われるかもしれないが、群戦略として考えた場合、それぞれの事業は独立していた方がいい」と話し、ソフトバンクを独立させることで国内通信事業の価値を顕在化し、自律的な成長を実現するとしている。


群戦略に基づき、国内通信事業を担うソフトバンクの上場準備を開始すると発表。役割を明確化して自律的成長を進める狙いがあるという

 一方でソフトバンクを独立させた場合、ソフトバンクが生み出す潤沢なキャッシュフローをソフトバンクグループが投資に用いにくくなるという懸念もある。この点について孫氏は、ソフトバンクの配当を充実させることで解消していくと答えている。

 その上で孫氏は、改めて国内通信事業の決算内容を紹介。売上高が前年同期比62億円増の2兆4069億円、利益が前年同期比387億円減の6127億円と、増収減益の決算となったが、「上場後に永続的に利益を増やすため、一度先行投資して顧客を増やすことに力を入れている」と、来期以降に向けた投資フェーズであると説明した。

 また、ソフトバンク代表取締役社長の宮内謙氏は、ソフトバンク、ワイモバイルともにスマートフォンの利用者が順調に伸びているほか、新たにLINEモバイルと提携し、51%の株式を取得したことで「(LINEモバイルの活用で)3つ目のポジションを作っていけるんじゃないか」と話した。


国内通信事業は増収減益で、上場後の成長に備え投資フェーズが続くとのことだ

 また孫氏は、ソフトバンクの新たな戦略として「Beyond Carrier」を打ち出し、ソフトバンクの顧客基盤とソフトバンク・ビジョン・ファンドのビジネスを活用した取り組みを進める考えを示している。具体的には、ソフトバンク・ビジョン・ファンド出資企業とソフトバンク、もしくはヤフーがジョイントベンチャーを設立し、国内でサービス展開することによって、双方が成長できるビジネスモデルを作り上げていきたいとしている。

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