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ドコモから米VCに転身し「オープンイノベーション」に挑む--トランスリンク秋元氏 - (page 2)

藤井涼 (編集部) 井口裕右2018年02月12日 08時00分
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オープンイノベーションの実現に「経営者のコミットだけでは不十分」

ーーこれまでさまざまなオープンイノベーションに携わってこられて、また最近ではSOMPOホールディングスのCVCファンドの運営に携われるなかで、感じていることはありますか。

 これまで私が一貫して感じていることですが、オープンイノベーションで最も陥りやすい状態が「手段の目的化」です。つまり、CVCの場合は、本来の事業目的はオープンイノベーションを実現することにあり、投資することそのものはそれを実現するためのツールであるはずなのに、投資実績を積むことが目的になってしまい、その件数や金額がKPIになってしまう状態を指します。結果的に、投資件数を達成するために本来の目的にそぐわない投資が生まれてしまう場合があるのです。これは投資に携わる現場の問題ではなく、そもそも仕組みの設計上の問題であり、手段が目的化しないような設計を考えていくことが極めて重要ではないかと思います。

 とはいえ、最近ではCVCに携わる人たちのコミュニティが以前に比べて整ってきているので、そうした陥りやすい失敗事例などを共有することで、CVCが成功する可能性は高まっていると思います。

 加えて、オープンイノベーションに関わるすべてのメンバー、つまり社長や役員から部署の責任者、そして現場の管理職や末端の一般社員に至るまで、全員がオープンイノベーションの実現に向けた当事者意識と熱意を持っているかどうかという点が、非常に重要だと感じます。いわずもがな、企業トップのコミットメントはCVCやオープンイノベーションの実現にとっては絶対です。ただ、コミットメントだけでは不十分で、経営者が自らの言葉で熱い思いを語れるレベルまで盛り上がらなければ、オープンイノベーションは実現しないのではないでしょうか。


 たとえば、SOMPOホールディングスとのCVCファンド設立の際、イスラエルのテルアビブにデジタル分野の研究開発拠点を立ち上げました。その開所式にはSOMPOホールディングスのCEOである櫻田謙悟さんと、常務執行役員でデジタル領域を担当している楢崎浩一さんが参加したのですが、櫻田さんが英語で、それも予定原稿なしでスピーチをしたのです。つまり、なぜイスラエルなのか、SOMPOホールディングスはこれから何を実現したいのかを、トップが何の準備もしていない状態から自らの言葉で語ったのです。

 トップ自らが新しいプロジェクトの最大のサポーターとなることで、現場をリードしている。まずはこうした構造の上に関わる全員が「一人称」で目指すところを語れる状況が生まれなければ、オープンイノベーションは絶対に成功しないでしょう。

ーーこうしたCVCが陥りやすい「手段の目的化」を回避することは、決して簡単ではないと思います。

 そうですね。ただ、そこが私たちのお手伝いできる部分だと思っています。SOMPOホールディングスとのCVCファンドでは、私たちは通常のVCでは考えられないほど深くSOMPOホールディングスに入り込んで、彼らのオープンイノベーションの戦略整理やベンチャー企業への具体的な投資目的の議論、車内の温度感の調整などを、さまざまな形で一緒に運営しています。私たちはこうしたスタンスを「バーチャルCVC」と呼んでいますが、半身はもうSOMPOホールディングスの社員のつもりで、深く踏み込んでお手伝いをしているところです。

ーー投資件数はそれほど多くないと思うのですが、ファンドパフォーマンスとのバランスはどのように取っていくのでしょうか。

 投資件数はフェーズによって異なると思います。もちろん、CVCの設立当初は戦略やスキーム、業務フローを固めていく必要があるので投資そのものは限定的だと思いますが、その産みの苦しみを超えていくと、効率は格段に上がります。そのため、中長期的にファンドパフォーマンスとのバランスは十分に取れるのではないかと思います。

ーーシリコンバレーのオープンイノベーションは、日本と比べてどのような特徴の違いがあるのでしょうか。

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