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節目で開催される「NTTドコモ・ベンチャーズ DAY 2018」の意義-稲川副社長に聞く

別井貴志 (編集部)2018年02月05日 11時25分
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 NTTドコモ・ベンチャーズは、「NTTドコモ・ベンチャーズ DAY 2018」を2月20日に開催する。NTTドコモ・ベンチャーズ DAYの開催は3回目だが、同社発足から5周年という節目での開催となる。今回の見どころや意義などについて、取締役副社長の稲川尚之氏に話を聞いた。

――NTTドコモ・ベンチャーズ発足から5周年という節目を迎えての開催ですが、これまでを振り返りつつ、今回のNTTドコモ・ベンチャーズ DAYの目的や意義を教えてください。

NTTドコモ・ベンチャーズ 取締役副社長の稲川尚之氏 NTTドコモ・ベンチャーズ 取締役副社長の稲川尚之氏

稲川氏:節目という意味では、NTTドコモ・ベンチャーズという会社が設立されて5年になりますが、NTTグループとして投資ファンドを展開するという意味では、NTTインベストメント・パートナーズがもともとあり、そこで組成したファンド「NTTインベストメント・パートナーズファンド」が2008年3月から始まりました。つまり、投資活動としては、ちょうど10周年となり、そういった意味でも大きな節目です。

 そして2017年10月に運用総額150億円、運用期間10年の「ドコモ・イノベーションファンド2号」を組成しました。ドコモが、このファンドでどんな活動をしていくかをお伝えする良い機会だと考えています。ちなみに2月20日は、実は設立記念日でもあります。この5年間で、ファンドから50社以上のベンチャーへの投資をさせていただいて、いろいろな協業をNTTドコモおよびNTTグループとさせていただきました。

 5年前の2013年、もしくは10年前の2008年というのは、スマートフォンが出てきて携帯電話のプレイヤーが変わり始まる時期でした。iPhoneが世の中に登場したのは2007年ですが、それまではガラケーと呼ばれるフィーチャーフォンが主流で、ドコモだったらiモード、他社でもモバイルウェブとして使っていましたが、そこからパソコンのようにアプリをダウンロードしてそれを利用する世界が広がり、音声とメールだけの世界からさまざまな情報を取り出し、アップロードする環境になっていきました。そういった自由な環境になったことで、代表的なのはFacebookやTwitterがわかりやすいですが、いろいろなベンチャー企業がいろいろなビジネスを起こしてきました。

 端末メーカーも顔ぶれが様変わりして、それまで日本の2大巨頭だったNECとパナソニックが今や両者とも撤退し、当時からやっているソニーモバイルコミュニケーションズや富士通、シャープの3社が現在展開しているかたちですが、今の主流はアップルとサムスンで外国勢が台頭しています。ソフトウェアも、iOSのApple、AndroidのGoogleはシリコンバレーの企業です。2013年からの5年間というのがすごく勢いのある期間で、ユニコーンと呼ばれる急成長するベンチャー企業が続々出現しました。弊社の投資先でも何社かユニコーン企業になる可能性のあるところに投資させていただいていて、そういう意味ではこうした成長時期に非常に良いタイミングでベンチャー活動が出来ていると思っています。我々、コーポレートベンチャーキャピタルとしては10年選手でやらせていただいており、いわゆる老舗の方だと思いますので、腰を据えてしっかりやってきた成果をこれから更にお見せしていきたいと思っています。

――その移り変わりの中で、今や皆が口をそろえてAI(人口知能)と言ってます。また2018年のCESでは「モビリティ」が全面的に出てきて、「Mobility as a Service:MaaS」とも言われるようになってきています。今回のNTTドコモ・ベンチャーズ DAYでは、NTTドコモによるピッチセッションがあり、AI、IoT、ドローン、デジタルマーケティング、メディア戦略などいろいろなテーマが設定されていますが、どんなイノベーションを期待していますか。

稲川氏:NTTドコモが2017年度からの新たな中期戦略2020「beyond宣言」を出しました。その中に、2020年の東京オリンピックまでの時間軸で9つの分野のスタイル革新を次の通り宣言しています。

  • 体感革新:「新エンタメ体験」「次世代モビリティ」「シェアリング」
  • ライフスタイル革新:「AIエージェント」「FinTech」「トータルヘルスケア」
  • ワークスタイル革新:「ドローンロボティクス」「ワークイノベーション」「ワークマッチング」

 新しい産業への新しい技術の応用というところで、具体的に何をユーザーに対して提供するのか、どうやってマネタイズしていくのか、誰もが模索している状況だと思います。この背景には法改正の問題もあって、たとえばドローンなどは飛行することについての法律を変えないと実際には都心の空などを自由に飛べないでしょう。規制も含めて、それが緩和されるタイミングで、新しいことを仕掛ける準備をいろいろしていかなければならないと思っています。

「新しいことを仕掛ける準備をしなければならない」と稲川氏 「新しいことを仕掛ける準備をしなければならない」と稲川氏

 各社がAIなどを見ていますが、我々のグループは通信事業者です。昔は「モバイルコンピューティング」という言葉が流行りましたが、2000年ころにはこれが「マシンツーマシン(M2M)コミュニケーション」となり、そしていま「IoT」につながっているわけです。もともとハンドセット(携帯端末)は端末の言葉通り終着点だったんです。でもいまやBluetoothやWi-Fi、テザリングなどを使い、どんどん別のモノがつながるようになりました。

 たとえばFitbitやオムロンなどが発売した活動量計の端末はスマートフォンと連動しますが、2013年頃の出たばかりのときは、スマートフォンの音声ジャックにケーブルでつないで蓄積したデータを取り出す必要がありました。これが、今では自動的にデータをアップロード、ダウンロードできる機能がついて、まさに無線通信をしているわけです。

 これがさらに拡張していって、いまや車でもSIMカードが使えるようになり、スマホで家の中からエンジンを始動できたり、ドアロックを掛けたりできるようになりました。NTTドコモが空を飛ぶLTEドローンの発表をさせていただきましたが、モバイル通信ネットワークを使って色々なものをコントロールするという流れがいろいろ来ている中で、そこをどうマネタイズしていくかが鍵なんです。

 通信事業者はもともとネットワークを持っているので、情報を加工するプラットフォームとしてそこにいろいろなものがつながっていくわけです。この(1)下から情報を吸い上げて、(2)ネットワークで加工して、(3)付加価値を付けて提供する、という3つの動作を収益に変えていく、ビジネスとしてそういう活動をしていきたいのです。また、誰と手を組むかが非常に重要です。NTTドコモの「+d(プラスディー)」というスローガンがありますが、我々だけでは出来ない世界になってきたので、パートナーシップを大切にし、誰と組んで何をお客様に提供できるか、ビジネスとしてマネタイズしていくか、そこを作ろうとしています。

――そのような流れのあるこの時期、時代に、今回のNTTドコモ・ベンチャーズ DAYの見どころは?

稲川氏:いままで話した内容は割と漠然とした話ですね。たとえば「Amazon Echo」に「Alexa、今日の天気を教えて」と言って何回か使ってみますが、その後それ以外のことをやるかというと、(他のユーザーの方も)意外にやっていないのではないかと思っています。これをどうビジネスに変えていくか、いろいろ考えてみるのですが、NTTドコモ・ベンチャーズ DAYではドコモの各事業部のチーム、AIとかIoTとか、各チームから具体的な話をさせていただきます。

 普通だとビジネスピッチというかハッカソンというか、ベンチャー企業が大企業や投資家の方々に「こんなアイデアがあるので投資してください」とプレゼンテーションをすることが多いのですが、今回は逆に我々側から「こんな取り組みをしているんだけど、興味ある人いませんか」とベンチャー企業の方々に聞いていただきたいと思います。このほか、NTTドコモだけでなく、NTT東西、NTT Com、NTTデータなどでイノベーションを実際に現場で起こしているライトパーソンにも登壇してもらってパネルディスカッションなども計画しています。NTTグループとして、通信事業者として、イノベーティブな取り組みをどう打ち出していくのか、パネル形式でざっくばらんに議論してもらいたいと考えています。

――投資している企業も含めて、ベンチャー企業のアピールはないのでしょうか。

稲川氏:それぞれのポートフォリオのベンチャー企業ももちろんアピールします。我々のミッションである「協業を創る、事業を創る」タイミングとして、ベンチャー企業、ベンチャーキャピタル以外でもNTTグループの社員や、グループ他社も含めて、この機会にこの会社と組みたいと思うことがあれば、喜んでアレンジしてビジネスを創り、そのベンチャー企業を大きくしていく、そうした時間もしっかり取っていきます。

 会場はセッションなどを行うメイン会場とブース会場があります。ブース会場では各企業が、現在約30社ですが出展し、ベンチャー企業とNTTグループの各企業に加えて経産省などの関連の方々も加わって自由に会話ができるようになっています。ブースからシナジーが生まれることも期待しています。

――どういう人に来てもらいたいですか。

稲川氏:今回は特にファンドを組成して間もないので、これから投資していくという意味で、まずはベンチャー企業の方がたに来ていただいて、資金調達のタイミングをご相談いただきたいです。そしてベンチャーキャピタルの方々で、追加の出資の話があるけど一緒に組めるかどうかの話もしたいです。あとはNTTドコモを含むNTTグループとの協業を推進していきますので、興味ある方がたに広く来ていただき、我々の取り組み、もしくはNTTドコモの取り組みの中で、ベンチャー企業の方々がやりたいこととのマッチング、ビジネスシナジーを生む場として使っていただきたいと思っています。

 来場の募集はPeatixでしており、登録してもらえれば誰でも参加できます。また投資以外の形として「ドコモ・イノベーションビレッジ」というベンチャーコミュニティの活性化のプログラムをやっていて、そこにコ・ワークスペースがあります。起業してまもない、1年経たない方や社団法人の社会起業家、社会で困っている人たちを助けていく方々ともつながっているので、こうした若い起業家にこのイベントの中でいろいろな人脈を広げていってもらうことも狙っています。

――海外の企業にも投資されていますが、そうした企業の参加は?

稲川氏:投資のポートフォリオの半分は海外で、シリコンバレーやイスラエル、欧州のベンチャー企業などにも投資しています。我々はシリコンバレーに支店もあり、シリコンバレーと東京と同じ枠組みで活動できるようになったので、海外と日本で情報交換しながら、戦略的にNTTドコモおよびNTTグループとの協業を作っていく方向です。今回も数社米国企業がブースを出して参加します。

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