ソニーは、4月1日付けで代表執行役社長兼CEOを交代する人事を発表した。決算会見を予定していた2月2日、社長に昇格する代表執行役副社長兼CFOを務める吉田憲一郎氏と、会長に就任する代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏出席の下、記者会見を開いた。
平井氏は「新しい中期経営計画が始まるこのタイミングで新しい経営体制にバトンタッチすることが、今後のソニーにとって、また私自身の人生にとって適切であると判断し、退任を決断した。2012年の就任から6年、最大かつ喫緊の課題だったコンシューマエレクトロニクス事業を、安定した収益を挙げられる事業構造に変革できたことは感慨深い。『規模を追わず、違いを追う』ことについてはブレずに取り組んできた」と就任から今までを振り返った。
ソニーでは、2018年3月期通期の業績の営業利益が前年同期比2.5倍の7200億円、税引前純利益が同2.7倍の6900億円、当期純利益が同6.5倍の4800億円になる見通し。この数字は1997年以来の高水準となる。「第2次中期経営計画の最終年度となる2018年3月期は目標経営数値を上回る業績になると見ている。元気なソニーが戻ってきたと周りの方に感じていただけることを大変うれしく思う」(平井氏)とコメントした。
経営のバトンを渡す吉田氏については「戦略的志向と多様な事業の知見を持つとともに、強固なリーダーシップを発揮する、次のCEOに最も相応しい人物」と評する。CEOの後継者議論の中で、平井氏自身が推薦し、全会一致で決定したという。
次期社長となる吉田氏は、「大変驚いた」と昇格の打診を受けた時の感想を話す。2015年に代表執行役副社長兼CFOに就任して以来、経営陣の一人としてソニーの構造改革を担ってきた。20年ぶりの最高業績を見通す中での就任となるが「20年でソニーを取り巻くグローバルな事業の環境は大きく変わった。最高業績を見通せるまでになったとはいえ、20年前と今とでは世界市場における位置付けが大きく異なる。今後はグローバル企業として、競争力を高めていけるかが課題。危機感でもある」と慎重な姿勢を見せる。
一方で「ソニーの最大の強みは世界中に親しまれている『SONY』ブランド。これまでのこれからも、これがソニーの最大の資産だと思っている」と自らの考えを披露した。
吉田氏は1959年生まれで、平井氏よりも1つ年上。「攻めの平井氏、守りの吉田氏」と一部で言われるほど、慎重な姿勢を貫く。「平井がトップだった6年間は、攻めも守りもあったと思う。特に前半は守りの部分が大きかったかもしれない。経営は攻めと守りの両方があり、今後も守るべきことは守り、攻めるべきときは攻める。どちらかということはない」とコメント。
さらに平井氏との経営に対する違いについて質問が飛ぶと「経営スタイルは違うかもしれないが、ベクトルは非常に合っていたと考えている」とし、平井氏も「全くその通り」と応えた。
平井氏は「一番苦しかったことは、構造改革を含め、ビジネスで厳しい判断をしなければならなったこと。それによって社員、ビジネスパートナー、ステークホルダのみなさまにかなりのインパクトを与えてしまった。それでもソニーを良くしていくためと自分にいい聞かせながら決断した。決して優しい判断ではなかった」と、6年間を顧みた。
平井氏は大変なカメラファンとして知られるが、吉田氏は愛用のソニー製品を聞かれると「今はaibo」とコメント。「平井はカメラオタクで本当に詳しい。同じレベルにはなれない。ただ平井が言っていた『ラストワンインチハード』のコンセプトは素晴らしい。ここにコミットしていく姿勢をトップとして見せたい」とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス