KDDI社長交代--「まさか」の要請、現副社長の高橋誠氏が昇格へ

 KDDIは1月31日に役員の人事異動を発表。4月1日より現在代表取締役 執行役員副社長を務める高橋誠氏が代表取締役に就任するとともに、現在の代表取締役社長である田中孝司氏は代表取締役会長になるとしている。

KDDIの現副社長である高橋氏(右)が社長に就任し、現社長の田中氏(左)が会長職となる
KDDIの現副社長である高橋氏(右)が社長に就任し、現社長の田中氏(左)が会長職となる

 同日に実施された記者向け発表会において、田中氏は社長交代の経緯について説明。「携帯電話事業の競争が厳しくなる一方、今後はライフデザイン事業と通信事業が一体となって新しい形にトランスフォーメーションすると予測している」と話し、これからの競争を勝ち抜く上では通信を軸としながらも、よりライフデザイン事業の強化へと経営の舵を切る必要があったいう。

 そこで、現在経営戦略本部長として田中氏を支える立場にあり、なおかつKDDIで新規事業の開発に積極的に取り組んできた高橋氏に託す判断をしたという。田中氏は、「これからわれわれはチャレンジしていかないといけないが、彼は色々な課題がある中でも必ず前に向かうことを選ぶ。ある程度リスクがあっても前に進める力が重要で、今の時代に太鼓判が押せる存在だ」と評価。社長就任から約7年というタイミングで、交代を決意したと説明した。

田中氏は通信とライフデザインの融合という大きな変革が求められることを機として、経営を高橋氏に託す判断を下したとのこと
田中氏は通信とライフデザインの融合という大きな変革が求められることを機として、経営を高橋氏に託す判断を下したとのこと

 だが現在は、2015年に策定した中期計画を推し進めている最中であり、2018年4月からはその最終年度を迎える。それだけに、高橋氏も「まさかこのタイミングで就任を打診されるとは思っておらず、指名された時は頭が真っ白になった」と、田中氏からの就任の要請が予想外であったと話している。

 なぜ、そうしたタイミングで社長交代を打ち出したのか。田中氏は「来年度は中期計画の最終年度だが、同時に次の中期計画を決定する重要な1年だと思っている」と話し、新しい中期計画は新社長の元で決めていくべきとの判断から、4月での社長交代を決意したとのことだ。

 一方、新社長に就任する高橋氏は、1984年に京セラに入社した直後の同年6月に、KDDIの前身の1つとなる第二電電に入社。2000年にKDDIが誕生して以降はモバイルインターネットビジネスの積極的な開拓を進めるなど新しい技術やサービスの立ち上げに関わり、その後ジュピターテレコムの買収やグローバル事業などの経験を経て、副社長として経営を支える立場となっている。

新社長に就任する高橋氏は新規事業の立ち上げに多く携わっており、事業改革に強い意欲を示している
新社長に就任する高橋氏は新規事業の立ち上げに多く携わっており、事業改革に強い意欲を示している

 その高橋氏は、社長就任にあたって「IoTや5G、AI、ビッグデータなど多くの技術が生まれ、IoTとネットワークの組み合わせで産業が大きく変わる、変革期が訪れている。それだけに新しいことにチャレンジできる」とコメント。事業環境が大きく変わる状況について「ワクワク感がある」と話している。

 そうしたことから高橋氏は、「ライフデザイン企業への変革というだけでは足りないと思っている。通信とライフデザインを融合したサービスプロバイダとして、さまざまな企業と一緒に、顧客に新しいサービスを届ける立場になりたい」と社長就任に強い意欲を見せ、KDDIの事業改革に積極的に取り組む姿勢を打ち出している。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]