登壇者によるプレゼン後には、来場者からの質問に答える形で4名によるトークセッションが開かれた。モデレーターは、CA Tech Kids代表取締役社長の上野朝大氏が務めた。
「プログラミング」とはどのような存在かという問いに対し、菅野楓さんは「たとえば、お年寄りにもスマートフォンを使ってもらいたいといった、明確なイメージや目標があるけれど何をすれば分からない時に、一番簡単にチャンレンジできるもの」と語る。また、2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化するが、技術自体よりも「プログラミング的思考」を育むことを重視している。このプログラミング的思考とはどのようなものと考えるかという質問に対しては、「(ロボットなど)ものすごく物分かりが悪い相手に抽象的なことを教えるイメージ。たとえば、『歩く』という行動について、右足と左足を交互に出すことを何回繰り返すのかを、具体的かつ簡略的に表す力」と表現した。
82歳の若宮さんは、菅野姉妹が百人一首や映画を題材にサービスを開発していることを例に挙げながら、「プログラミングだけでなく、文学や地理などにも興味があるからこそ、素晴らしいアプリが作れる」と評価し、プログラミングはあくまでもツールだと強調。自身のプログラミングスキルについては、「この年齢なので指は思うように動かないし、(指の動きに)脳みそがあまり追いつかないのでゆっくりやっている」と語り、プログラミングに興味があるシニア層に向けて「お仕事じゃないから、焦ったりせず、マイペースで楽しめばいいと思う」とアドバイスした。
質疑応答では、テクノロジやAIが進化した世の中で人々は何をすべきかという質問も挙がった。これに対し菅野楓さんは、人々の移動手段が徒歩から車や電車に代わり、力仕事が人力からクレーンなどの機械に代わったように、これまでは「力」がロボットに代替されてきたと説明。今後は「知能」がコンピュータに代替される時代がくると話し、最終的に人々はコンピュータが作ったものを楽しむようになる時代がくると予想する。
この意見に対し野呂さんは、「知能がコンピュータに置き換わっても、おそらく人間は考えることをやめない。感情や考えは時代によって変わるので、そこにAIが組み合わさることで新たな文化が発達すればいい」と話す。また、正子さんも「この小説は面白いかなと疑問に思って分析をするという発想は人にはあるけれどコンピュータにはないと思う。そこのきっかけは現時点では人間にしかできない。また、コンピュータは過去にあった情報については強いけれど、過去にないものには弱い。思いもよらない想定外のことが起きた時には、人間以上に弱いのはコンピュータではないか」と持論を展開した。
最後に触れられたテーマは「女性のプログラミング」について。野呂さんは、「男女平等といいつつ、男性の方が強い職業はまだたくさんあるが、技術職にはそれがない。男でも女でもプログラミングで目標が達成できればいい。とっかかりは大変かもしれないけれど、それを乗り越えれば女性はもっと楽しくいろいろな働き方ができる」と話す。
また、菅野晄さんは「CA Tech Kidsでも男子が多いが、初心者でもちょっと学べばゲームやアプリを作れる。もっと女性技術者が増えればいい」とコメント。続けて、姉の楓さんは「中学1年生の夏休みにアメリカでiPhoneアプリを作ったが、男女比率は同じで女性の技術者も多い。2020年の必修化で日本でもプログラミングにもっと手が出しやすくなるので教育の変化に期待したい」と語った。
最後に正子さんは、「やはり親世代や祖父母世代が変わらないといけない。どうしても『女だからそんなことしなくてもいい』とネガティブになり、ぜひやったほうがいいという家庭は少ない」と指摘。女性がこれまで以上にプログラミングによって活躍するためには、家族や教師などの理解や支援も必要だと訴えた。
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