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川邊新社長が描く新生ヤフーの姿--「率先して新しい未来を作る」

山川晶之 (編集部)2018年01月24日 18時07分
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 ヤフーは1月24日、新執行体制への移行とともに、現代表取締役社長の宮坂学氏の後任として、現代表取締役副社長の川邊健太郎氏が代表取締役社長CEO兼最高執行責任者(COO)に就任する人事を発表した。


(左から)ヤフー代表取締役社長の宮坂学氏、同社の新代表取締役社長CEO兼COOに就任する川邊健太郎氏

 川邊氏は、元ヤフーCMO(現LinkedIn日本代表)の村上臣氏とともに青山学院大学在学中に電脳隊を設立し、代表取締役社長に就任。その後、携帯電話向けサービスを手がけるピー・アイ・エムを設立し、ヤフーと電脳隊、ピー・アイ・エムの合併にともないヤフーに入社。「Yahoo!モバイル」担当プロデューサーをはじめ、Yahoo!ニュース責任者、動画配信サービスGYAOの代表取締役社長などを歴任。2012年4月よりヤフー最高執行責任者(COO)執行役員兼メディア事業統括本部長に就任している。

 宮坂氏は、前社長の井上雅博氏から、2012年4月の新体制移行にともない代表取締役社長に就任。PCからスマートフォンへのシフトを宣言し、「eコマース革命」によるYahoo!ショッピングの出店料などを廃止したほか、アスクルの連結子会社化、クレジットカード事業などによる事業構造の変革を後押しし、中核事業の多角化に取り組んできた。

 宮坂氏は、「ヤフーを、メディアだけでなくECにも強い会社を目指そうと多角化を目指し、アスクルなどを買収してきた。結果、スマートフォンで使ってくれる人も増え、ECも順調に伸ばすことができた。もちろん、スマートフォンやECでやりきったとは言えないし、油断できる状況ではないが、ある程度大きく前進できたと思う」と、社長就任からこれまでを振り返った。

 続けて、「一方、我々がビジネスをしているインターネットは、国内外問わず市場環境が大きく変わり続けている。成長してユーザーから必要とされ続けるには、スマートフォンで使ってもらえるヤフー、ECで使われるヤフーにかわる新しいテーマを追いかける時期に来た」とし、「新しい山を登るには、新しいリーダーシップが必要。私が続投するプランもあったが、取締役会で話し合った結果、新しいリーダーシップを選任することにした」と、川邊氏の社長就任の背景を語った。


 川邊氏は、新しいヤフーのテーマとして「データの会社」を掲げる。宮坂社長時代からデータ・ドリブンカンパニーに向けた準備を進めてきており、それを引き継ぐ形だ。同氏は、「スマートフォンからデータの会社に移行する。CEOとCOOを統合し、ワントップで迅速な意思決定を実現し、ネットに強い執行役員とともに成長に取り組んでいく」と述べた。また、「ネットにはまだまだ伸びしろがあるし、ヤフーの中核事業のメディアとECにも伸びしろはあると思う。誰かがやる前に我々が率先して新しい未来を作っていきたい。世の中から、ヤフーは常に新しいものを最初に体験させてくれる会社だよねと言われたい」とした。

 “データの会社”の意味について川邊氏は、「ヤフーはこの21年間サービスを続けることで莫大なデータを蓄積してきた。データの力を解き放って、我々のビジネスをより大きくしていきたい」とし、「我々がユーザーに対して提供するサービスもデータの力で効率化、便利化できる。広告事業であれば、広告の効果を最大化できるし、ECであればユーザーに欲しいものをおすすめする時に、データ利活用のアプローチを強めることで『ちょうどそれ欲しかった』というサジェストができるようになる」と述べた。

 ITビジネスの世界では、ベンチャー企業からの激しい突き上げと、グローバル規模のテックジャイアントによる攻勢にさらされている。この状況について川邊氏は、「ベンチャーに対しては、ユーザーの多さ、組織力、資金力といった大きなネット企業ならではの戦い方で挑む。テックジャイアントに対しては、どのように対処するかは大変悩ましいが、データの力が重要になると思う。彼らは世界的に大きな企業ではあるが、ヤフーは日本に住んでいる方が最も使っているサービスであり、データを持っている会社。これを利活用することで、テックジャイアントにも打ち勝つ」と意気込んだ。

 事業については、既存事業ベースにデータの利活用による利便性向上のほかにも、AIや自動化を使ってエンジニアのリソースに柔軟性をもたせるという。これにより、リソースを新サービスの開発に回すことで、スピード感を持ったプロダクト開発が可能になる。また、データのマネタイズについても「まさにこれからの課題」としつつ、既存事業と新規事業それぞれで検討するという。

 既存事業については「広告、EC、FinTech事業などで効果が上がり、効率が良くなる」と語ったほか、新規事業については「データ・ドリブンそのものがビジネスになる新事業もあると思う。この20年間、インターネットを取り入れることによって事業を強化しない会社はなかった。それにより、膨大なソリューションビジネスが生まれた。今後は、データを利活用することで、事業の効果を上げたり効率を上げるデータソリューションのビジネスが大きくなる」と言及。

 「例えばではあるが、ヤフーが企業にデータの利活用を試みたり、日本に住む多くのユーザーの行動データを持っている会社としてさまざまな企業にデータを提供できるのではないか」と川邊氏は語った。

 なお、宮坂氏は取締役会長として経営の管理・監督に注力するほか、新会社「Zコーポレーション」を設立し、代表取締役に就任。ヤフーの事業と切り離し、新領域に挑戦するという。宮坂氏は同社について「まだ具体的な事業は決まっていない」としつつ、「ZコーポレーションはYの次を意味する。ヤフーでの事業は、リターンの確率が高いものを進める方法だったが、Zコーポレーションは、自分たちがやりたいことは何かを考え、その意志をITで解決したい」と述べた。



発表された新体制

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