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スマートフォンネイティブが見ている世界

漫画も音楽も「ネットなら無料」の若者たち - (page 2)

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ネットで探せば「何でも手に入る」

 ある保護者に聞いた話だが、そのうちの小学生は、ネットを使えばいつでも見たい動画が見られると思い込んでいたという。保護者が「Hulu」や「Netflix」「Amazonプライム・ビデオ」などの定額制見放題サービスで視聴していることを、「無料で見ている」と勘違いしていたようなのだ。YouTubeでも公式アカウントが公開している公式動画などを見ることもあり、「どちらもタブレットで見たりスマホで探してテレビで見たりしている」という。

 HuluやNetflix、Amazonプライム・ビデオなどは会費を支払っているから見られるのだが、子どもが支払うわけではなく違いは分かりづらいだろう。彼らは、YouTubeを始めとする多くのサイトで「検索すれば見たい動画が見られる」体験を繰り返しており、「ネットならどんな動画でも見られる」という感覚になってしまっているのだ。音楽を聴く場合も、YouTubeで探せば大抵その楽曲が見つかる。その漫画版が、「漫画村」というわけだ。

 もちろん、もう少し年齢が上がると、問題があるサイトとないサイトがあることは理解していく。しかしそうなっても、やはり多くの若者はネットでコンテンツを探して無料で楽しもうとする。学生はとにかくお金がない。そのため、お金を使うことをできるだけ避けたいという意識が強く染み付いており、まずネットで無料で見られる手段を探し出そうとするのだ。

「宣伝すればタダでもらえる」

 高校生に話を聞いたところ、彼女たちは「広告動画を見てポイントを貯めてスタンプをもらう」と言っていた。「アフィリエイトサイトをクリックすればポイントがもらえてスタバ代になるものもある」。

 彼女たちの1人は、「顔出しを気にしなかったら、YouTubeとかで動画を出してお小遣いを稼げるのに」と言っていた。YouTubeのアカウントは13歳から作成できるが、広告収入を受け取れるのは18歳以上ということは知らないようだった。

 しかし、一部のYouTuberが企業スポンサーから金銭を受け取っていることは知っていた。もう1人は、「インスタグラマーの方がいいよ。化粧品とかいろいろもらえるみたいだし」と言っていた。彼女たちは、SNSでのフォロワー数が多い人は有名人であり、宣伝力があると思っていた。そのような感覚の若者が増えている今、冒頭のようなYouTuberが出てくるのは不思議ではないだろう。

 「SNSで宣伝するからタダで」は、ホテル側がSNSでの宣伝に価値を見い出し、依頼をしてきて初めて成り立つ話だ。冒頭のYouTuberが問題だったのは、先方への敬意が感じられなかった点だ。お互いに価値を認め合える関係ならあり得ても、そうではない相手にはそのような申し出が失礼に当たることに気づけなかったのだ。

価値あるものにはお金を払う習慣を

 ゲームを違法コピーしたり楽しんだりできる「マジコン」を、小中学生の保護者が買い与えているという話が過去に話題になったことがある。「漫画村」も、保護者が一緒になって使っているようだ。子どもは保護者のあらゆる言動を見ており、このような行動が教育的に良いわけがない。

 保護者は、子どもたちがどのような価値観を持っているのかを知っておくべきだ。そして問題に気づいたら、早めに方向修正してあげるべきだろう。そのためには、保護者が率先して、価値あるものにはお金を支払うところを子どもに見せていくことも大切なのではないだろうか。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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