米議会下院は米国時間1月11日、国家の安全保障を目的としてインターネットを介した通信を収集する米国家安全保障局(NSA)プログラムを認める外国諜報活動偵察法(FISA)を延長する法案を、賛成256票、反対164票で可決した。
監視プログラムの根拠となるのは外国諜報活動偵察法(FISA)の改正法第702条で、19日に失効することになっている。
FISAの改正法第702条は、2008年に成立した。同法に基いて、国家安全保障に関わる機密事項について審理する裁判所は、「PRISM」や「Upstream」といった政府の監視プログラムでNSAにメールや文書などのインターネット通信を収集させるかどうかを決定する。
そうしたプログラムの詳細は、NSAの元契約職員Edward Snowden氏が2013年に報道機関にリークして公になった。
監視プログラムを認める第702条は、改正に関して上下両院で議論されることなく、2017年12月31日に更新期限を迎えた。議会は、2018年1月19日まで一時的に同法を延長することを決議した。上院も更新を決議しないと、さらなる延長はできない。
米国の諜報機関は、プログラムを維持するよう議員に圧力を掛けてきた。司法長官のJeff Sessions氏とNSAおよび米連邦捜査局(FBI)、米中央情報局(CIA)の長官らが署名した声明には、こうした監視プログラムを実行する権限を失えば、米国の安全が危険にさらされるとして、「第702条は、自国への攻撃を防ぎ、戦場からテロリストを排除するのに役立ってきた」と書かれている。
米自由人権協会(ACLU)などのプライバシー擁護団体にとって最大の争点は、こうしたプログラムでNSAが収集した米国民の電子メールなどの通信に、FBIが捜査令状を取らなくてもアクセスできるという点だ。
FBIに対して、NSAのデータベース内の情報を入手するために捜査令状の取得を義務づける修正案は、11日に下院で否決された。延長法案では、国の安全やテロとは無関係の公開捜査において、NSAのデータベースを検索する相当な理由があることを示して捜査令状を取得するようFBIに求めている。この要件は、テロや国家安全保障に関わるFBIの公開捜査には適用されない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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