米国家安全保障局(NSA)は、国外の連絡先とやり取りする米国民のテキストメッセージやメールのうち、監視下にある外国人に言及するものを収集してきたが、これを中止する計画だ。
米政府は従来、こうした監視は安全保障の脅威となるテロやその他の活動に関わる人物を探すのに必要だと主張してきた。しかしプライバシー擁護派や市民権擁護団体は、米国民の権利を侵害しているとして反論していた。
こうした情報収集は、物議を醸すNSAの監視プログラム「Upstream」の一環だ。同プログラムの存在は、NSAの元契約職員Edward Snowden氏が2013年に報道機関にリークしたことで初めて明らかになった。同プログラムは、米国の外国諜報活動偵察法(FISA)の改正法第702条によって法的に承認されているが、この条項は2017年に更新期を迎える。プライバシー擁護派の議員らは、同プログラムの修正を勝ち取るべく準備している。
Upstreamプログラムは当面、米国民から収集する情報を減らしていく方針だ。
NSAは米国時間4月28日の声明で次のように述べた。「任務の要件、現在の技術的制約、米国民のプライバシー権、実施への諸問題を包括的に見直した結果、第702条に基づく一部の活動を中止することを決定した」
New York Timesによると、声明のなかの「実施への諸問題」とは、法律によって定められた通りに、収集したデータから無関係のメールを取り除くことの難しさを指しているという。これが論理的に困難なのは、インターネットサービスプロバイダが多数の通信を大規模データにまとめ、一括してインターネットに送り出す傾向があるためだ。
ただし、NSAによるインターネット通信の大規模な収集は今後も続き、これには米国を離れる米国民によって送信されるメールも含まれる。
米国自由人権協会(ACLU)の法律顧問を務めるNeema Singh Guliani氏は、声明で次のように述べている。「NSAのポリシー変更により、法令のはなはだしい誤用はある程度抑制されることになるが、せいぜい一部の修正にとどまるだろう。米国議会は、こうした行いが二度と復活しないよう、また、幅広く令状なしの監視を許可するポリシーを終わらせるよう、万全の策を進めるべきだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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