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プログラミングは“おもちゃ”ではない--大人に負けない技術力を育む「CA Tech Kids」

藤井涼 (編集部)2017年12月22日 08時00分
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 サイバーエージェントという社名を聞くと、ブログサービス「Ameba」やインターネットテレビ局「AbemaTV」などを思い浮かべる人も多いだろう。ウェブサービスのイメージが強い同社だが、実は4年以上も前から小学生向けのプログラミング教育事業に参入している。それも、プログラミング的思考を身につけるといった初歩的なものではなく、大人にも負けない技術力を習得するための本格的なサービスだ。

 「子どもに対して、子どもなりのものを与えてもしょうがない。大人と同じプログラミングの機会を与えると、子どもたちはそれを使いこなせることがこの4年間の経験でわかった」──。そう語るのは、サイバーエージェントグループのCA Tech Kidsで代表取締役社長を務める上野朝大氏。同社ならではの教育事業の強みや、2020年のプログラミング教育必修化への思いを聞いた。


CA Tech Kids代表取締役社長の上野朝大氏

本気度に応じた3つのコース--活躍する卒業生も

 同社が運営する小学生向けのプログラミング教室「Tech Kids School(テックキッズスクール)」では、大きく「短期体験コース」「継続学習コース」「キッズプログラマー奨学金制度」の3つのコースを用意している。

 まず短期体験コースでは、夏休みや冬休みなどにプログラミング入門ワークショップ「Tech Kids CAMP」を開催し、2~7日間にわたり、子どもたちがプログラミングに興味を持つ機会を提供している。画面上のブロックを組み合わせるツール「Scratch(スクラッチ)」や、人気ゲーム「マインクラフト」などを使って、楽しみながらプログラミングを体験できる。

 授業で生徒たちは4~6人のグループに分かれ、グループごとに1~2人の大学生がメンターとして開発をサポートする。メンターには、プログラミングや子どもとのコミュニケーションに長けた理系の大学生・大学院生を中心に起用しているという。生徒たちは、PCの基本的な使い方を覚えながらプログラミング教材で開発をし、最終日に自身の作品を他の生徒たちの前でプレゼンテーションする。


入門ワークショップ「Tech Kids CAMP」

 体験イベントは自社だけでなく、地方自治体と開催することもあり、これまでに全国19都道府県で7000人以上の小学生が参加しているそうだ。このほか、任天堂の開発者を招いて、「スーパーマリオメーカー」を使ったオリジナルのコース作りに挑戦するゲームクリエイター講座や、小学校向けの出張プログラミング授業なども開催しているという。

 短期体験コースでプログラミングに興味を持った生徒に対して用意しているのが、スクール型の継続学習コースであるTech Kids School。現在、東京に3カ所と、横浜、名古屋、大阪、神戸、沖縄の計8カ所で開講しており、約1000人(Tech Kids CAMPとあわせて累計2万人以上)の小学生が継続的にプログラミングを学んでいるという。

 同スクールでは、最初の1年間はScratchでプログラミングの基礎知識や概念を学ぶ。そのあとは、「iPhoneアプリ開発」(Swift)、「Unityプログラミング」(C#)の2つから好みのコースを選び、2年間の授業を通じて、オリジナルのゲームやアプリを開発する。1回120分のカリキュラムを年間40コマ設けているという。


「Tech Kids School」の授業風景

教材を使った授業のあとはオリジナル作品をゼロから作る

 カリキュラムの前半は、同社が独自開発したウェブ教材を使って1回の授業ごとに1つの作品を作る。先生が前に立って一斉に教えるのではなく、生徒が自身で動画教材をみながら“自学スタイル”で作るという。後半は、教材学習で得た知識でオリジナル作品をゼロから開発する。アイデアシートを使って自身のアイデアを具現化し、開発シートで計画を立てた上で、開発に落とし込むという。企業などが開発現場で行なっているプロジェクトマネジメントと同じ流れを実際に体験することで、考えを形にする“表現力”に加えて、スケジュールや優先順位を考える“段取り力(設計力)”も身につけてほしいという考えからだ。

 さらに、展示会など定期的にアウトプットできる機会を提供する。生徒たちは他の生徒の作ったゲームやアプリを体験したり、お互いの作品についてアドバイスを送りあったりすることで、新たなアイデアを生んだり、創作意欲を高めたりできる。また、作品を大勢の前でプレゼンテーションすることで、社会に対して働きかける姿勢や、人前で話すことに物怖じしない度胸なども養えるとしている。


自作アプリやゲームを他の生徒の前でプレゼンテーションする発表会

 スクールでの授業を経て、より本気で学びたい生徒に対しては、サイバーエージェントが機会や費用を用意するキッズプログラマー奨学金制度を提供している。選ばれた生徒は、毎週4時間の授業で約半年間・述べ100時間にわたりプログラミングを学ぶという。この制度を通じて、これまでに数多くのユニークなアプリやゲームが生まれていると上野氏は話す。

 たとえば、宿題や勉強量に応じて目標時間を設定し、制限時間内に終わればお小遣いがもらえるアプリ「Time is Money」や、クイズに答えてランダムに出現するモンスターと戦うゲームアプリ「Study Quest」、元素の特性をゆるキャラやパズルなどで楽しみながら覚えられるアプリ「元素図鑑」などだ。



 この元素図鑑を開発した菅野楓さんは当時小学5年生。小学4年生からTech Kids Schoolに通っており、「U-22プログラミング・コンテスト」において当時最年少で「モバイル賞」「ユースフル賞」をダブル受賞した。現在は中学2年生になり、中高生向けのプログラミング教室「Life is Tech !」や孫正義育英財団に所属している。2017年に開催されたU-22プログラミング・コンテストでも「経済産業大臣賞 アイデア部門」を受賞するという、2度の快挙を果たした。

 この際に菅野さんが発表したのは、「narratica」という自然言語処理によって映画やドラマのストーリーを解析し、面白い作品作りを支援するソフトウェア。入力された脚本を解析し、登場人物ごとの感情の起伏をグラフ化することで、物語が3幕8シークエンス構成になっているかを診断できるという。これまで、関係者の感性や自らの経験値に頼っていた改稿の仕事を、客観的なデータに基づいて行えるようになるとしている。


 「当時小学校だった子どもたちが中学生になり、成功したり手応えを感じたりしている。意欲があれば誰でもこうなりうる」(上野氏)。

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