大阪のナレッジキャピタルが創館から続けている、オーストリアのクリエイティブ文化機関アルスエレクトロニカとのコラボ企画「ARTISTS AS CATALYSTS 触発される身体展」が12月20日より開催された。グランフロント大阪北館で2018年2月25日まで行われる。入場は無料。第8回目となる今回は、身体をテーマにした作品で、アルスエレクトロニカ賞(Prix Ars Electronica)を受賞した2人のアーティストの作品を展示する。
1人目のカティア・ヴェガ(Katia Vega)氏は、メイクアップをインターフェイスとして扱う「ビューティー・テクノロジー」の研究をを手掛けるアーティスト。メディアラボ時代から一貫して同じテーマに取り組んでおり、最近では、体の状態に反応して色が変わるバイオタトゥー・インクの開発で知られる。RFIDタグなどをコントロールできる導電性マニキュアを使ったネイルチップ「Beauty Tech Nails」や、無意識にさわるとデータが外部に転送されるヘア・エクステンション・デバイス「Hairware」などを展示。「ファッションとテクノロジーという異なる分野をつなげることで、これまでとは異なる使い方ができるようになる。こうした新たな拡張性を通じて社会や生活をより良くしたり、問題解決につなげたい」とコメントする。
2人目の近藤玄大氏は、3Dプリンタを使った筋電義手「handiii」の開発で知られる人物。義手の利用者と技術者、医療従事者をつなぐコミュニティ・プラットフォーム「Agency Lab.」の活動を通じて生まれたさまざまな作品の一部として、片手で遊べる剣のおもちゃ「Tokken Totten」や、クリスタルデザインの義手などを展示している。筋電義手の設計に必要なデータやノウハウは、GitHubでオープンソースとして公開しており、「作品が拡張するのは身体だけでなく、人間関係やそこにある人の思いも含まれる。自身の活動や今回の展示会を通じてものづくりのコミュニティを拡げていきたい」としている。
キュレーションを担当したアルスエレクトロニカの久納鏡子氏は、「両者の共通点は、身体と技術の関係が近づき、今後どう拡張していくかをテーマにしているところにある」と説明。展示の方法も今回から大きく変更し、制作の背景となるストーリーをより詳しく紹介し、実際に見てさわってもらえるようにすることで、アーティストと作品が見ている人たちの生活や社会につながる機会にする。具体的には「作品を通じて自身のカラダを意識し、これからどのように拡張されるのかを想像する機会になれば」とコメントしている。
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