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自分のキャリアを自分で考える--DeNA人事プロジェクト「フルスイング」の狙いを聞く - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2017年12月21日 08時00分
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記名制の360度フィードバックは改善のアクションにつながりやすい

--そして社外の副業を可能とする制度も始まりました。

 10月から始めて、説明会では100名程度が参加しました。12月18日時点で、27件ほど承認をして実際に始めています。

 副業の承認自体は一定のルールを設けています。もちろん現在の業務に大きな支障を及ぼすと判断されるときは承認しないというスタンスです。これもあくまで社員個人の自己実現とさらなる成長を促すことが目的で、それが本業にもいい影響を及ぼすという世界観を大事にしています。本人の情熱と生産性の向上が目的ですので、本業におけるパフォーマンスが変わらないことが最低限必要です。むしろ、より高く持ってもらうことが大事だと考えています。

 副業をしたいと希望したメンバーもその意識は強く持っていますし、会社に対する貢献を変えたくないという意識を持ったうえでの申請だととらえています。まだ副業制度を始めたばかりですので、制度の具体的な検証はこれからになります。

--申請された職種などはどのようなものがありましたか。

 業種の偏りが出ると思いましたが、ビジネス系やエンジニア、クリエイティブな職種など、思ったよりもバラバラですね。かといって突飛なものもなかったです。

--フィードバックプログラムでは、上司にあたるマネージャーに対して記名制で行うのは珍しいように思います。

 360度フィードバックを実施している会社の多くは無記名だと思われますし、このことをお話すると、驚かれる方は多いです。でも我々としては普通のことととらえています。

 DeNAには「DeNA Quality」として掲げている行動規範のなかに「発言責任」があります。率直に思ったことはなんでも言うというもので、社員間で思ったことはストレートにお互いにぶつけあって、本質的な価値の提供に集中するというものです。これまでのアンケートでも記名でやることが多かったですし、このために変えたことではありません。

 私もマネージャーとしてフィードバックを受ける側ですが、本当に遠慮のない意見があって、襟を正さないとと思います。ですが、無記名制で誰が書いたかわからないままで指摘されると、改善するべきかどうか余計に迷います。記名式の場合ですと、指摘したメンバーとのやり取りから心当たりを思い出しやすいですし、ミーティングで発言の背景を確認できれば、改善に向かうスピードもあがります。改善のアクションにつながりやすいところが一番大きいです。

對馬氏に向けられたフィードバック
對馬氏に向けられたフィードバック

--ほかにもキャリア相談室を設けています。

 DeNAの事業環境、そして事業自体が目まぐるしく変化していますから、社員に対して変化が求められる状況も少なくないです。そうなると悩む社員が出てくることも多いです。なのでマネージャーだけではなく、第三者のオピニオンという立場から相談できる場があるといいと感じていました。

 8月からはじめて40件ぐらいの相談があります。自分の強みを再認識したい、一緒にキャリアの棚卸をしたい、シェイクハンズに手を挙げようと考えているなかで足りないところを自覚したいというものから、もやもやしている、モチベーションが上がらずパフォーマンスが発揮できていないという、少し漠然としたものまで含めてさまざまです。

 相談室では、私も含めて事業経験と人事の両方のキャリアを持つメンバーが対応しています。社員のパフォーマンスを引き出すためには、キャリアにフォーカスを当てた相談をすることは、会社としても社員の人生としても必要であり重要です。

成功や失敗で判断せず、変化に応じてチューニングし続けることが大事

--働き方改革として各社がさまざまな施策や取り組みを行っていますが、勤務時間の短縮に目がいきがちな現状もあるかと思います。ご自身ではどのようにとらえていますか。

 現実として残業削減などに目がいきがちなところは、否定できない状況です。ですが、働き方改革はパフォーマンスを高めることが本質であって、それがないまま勤務時間を短縮するのは本質的ではないと考えています。

 そのパフォーマンスを高めるにはどうしたらいいかは、ひとつの施策だけでできるものではありません。パフォーマンスを高めるための要素は人によってバラバラです。いろんな形のアプローチをしないと、本当の意味での生産性向上、パフォーマンス向上にはつながりません。

 事業の領域、企業の規模、フェーズ、実際の仕事の中身によってもアプローチは違うと思います。いろんなものが絡み合っているなかで、ひとつのやり方でルールを規定するような施策では限界があって、それだけでパフォーマンスを上げるというのは難しい。かえってやる気をそいでしまう危険性もはらんでいます。働き方改革の目的を鮮明にしたうえで、目的に対する手段を、ある程度業界や企業にゆだねられる世界観になるといいなとは思います。

--これまでの施策を振り返って、うまくいったものやそうでないものというのはありますか。

 施策の成功や失敗は、あくまでそのときの判断でしかありません。むしろ大事なことは、変化に応じてチューニングをしていくことです。シェイクハンズ制度はまさにそうで、キャリア公募制度を始めたときでも相応に手が挙がっていたので、ニーズを満たせていたと思ったんです。でも、社員のキャリアをかなえていくことを考えたときに、半年に一回というスパンで本当に満たせているのかと疑問に思って、いつでも異動がかなえられる制度にしたんです。

 ある一時いいと思った施策でも、状況が変われば評価も変わっていきます。それにあわせて変更していくことのほうが重要です。

--HRテックと呼ばれる、人事領域にテクノロジを活用していく動きも活発ですが、その点はいかがでしょうか。

 ピープルアナリティクスのチームも人事のなかに作りました。事業の分析を担当していたメンバーに複数入ってもらって、人に関するビッグデータを活用して、分析の上施策に生かすようなことも始めています。AIであれ、ビッグデータ分析は活用されていくものであり、わたしたちとしても最先端の取り組みができるようにしていきます。

 人は感情のある生き物ですから、データ自体が変遷していくものです。それをしっかり見極めてソリューションが提供ができるようになると、仕事のパフォーマンスも上がるものととらえています。

 なにより、効率化して活用することによって、より本質的なところに時間と頭を活用できることは多々あるかと思います。私も、「自分の力を最大限に発揮しきれていない」とする4割のメンバーの能力を発揮させるために、やるべきこと、やりたいことがいっぱいあります。テクノロジを活用しないとやりたいことができないぐらい、時間も足りないですから。

--そういったテクノロジやデータを扱う側にも、今後知識が求められるように思います。

 もちろん最終的なジャッジは人間が介在していくものです。意思をもって思いを込めて決めていくのは人間なので、中途半端な知識やデータに頼り切ってしまうと振り回される危険性もはらんでいるのも事実です。扱う側が何を目的にして、そして本質的な部分を見極めて活用することも大切になるかと思います。

--人事の立場から見て、会社を成長させることの物差しや基準というのを、どのように持っていますか。

 人の周りに事業ができるということ、そして熱意を持った人の周りに人が集まって事業ができていくという感覚を、創業以来から大切にしています。事業であれ組織であれ人がベースにあって、人が作っていくという考え方は強く持っています。それゆえに入ってきた社員が十分に力を発揮できているかは大きな指標ですし、重要なことです。このような施策によって社員が持っている力を十分に発揮できれば、事業の成功に必ず結び付くと考えていますから、事業に対してもプラスのインパクトが出せるものととらえてます。

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