「このまま地元でやっていくのか」。Ram-Z Fabの事務室で、Hurst氏にそう尋ねるRamsey氏は不満げだった。
「そうだ。ここは会社を作るには最高の立地だ。経費が半分で済む」と、Hurst氏は答える。
この前日、Cassieが生まれたOSUの研究所で、Hurst氏ははっきりと言葉に出して筆者にこう語った。「Agility Roboticsの目標は、積極的に成長することだ」
Agility Roboticsの未来をめぐる不確かさには、もうひとつ、そしてとても大きな要素がある。Cassieは、歩く以外何もできないということだ。周りを「見る」ための機械の目もなければ、荷物を運ぶ腕もない。Hurst氏とJones氏のビジョンを達成しようとするなら、目や腕が必要になる。
Cassieは今の時点で何か役に立つことができるのか、と聞くと、Jones氏は笑って、こう答えた。「それを聞かれると痛い」
「二足歩行ロボットCassie」を「実用型ロボットCassie」にしようとするなら、Agility Roboticsに残された時間は少ない。全米の大学の研究所に、すでに4体を売っているからだ。購入した研究所は間違いなく、Cassieの機体を分解して、その動きを独自に制御する方法を解明しようとする。そもそも、Cassieはコンピュータの頭脳を2つ搭載している。Agility Robotics製のソフトウェアが組み込まれているコンピュータと、ユーザーが独自のアルゴリズムを試すためのコンピュータだ。
Jones氏はこう続ける。「われわれが現在いる段階は、基本的にはベータテストだ。われわれは(Cassieを)一種のプラットフォームとして扱っており、特に優秀なロボット工学のチームに送っている。いずれも有能で、凡庸なチームはひとつもない」
Agility Roboticsからは新しいロボットが登場する予定であり、それはCassieの成功を受けて同社の将来を決定づけるものになる、とJones氏は筆者に断言した。次のロボットは、Cassieの発展形として期待に応えてくれるかもしれないし、逆にAgility Roboticsの社運を傾けることになるかもしれない。Hurst氏もJones氏も、次のロボットがどのようになるかについては口を閉ざしていたが、少なくとも腕が付くことは同社からすでに発表されている。
先行きの不透明感は、Jones氏の今の住まいからも見てとれる。
親の農場に仮住まいの板金構造の部屋を建て、そこで暮らしている。仮住まいの一隅はガレージになっていて、Jones氏はそこでオフロードバイクをいじる(筆者が訪れたときは、分解したエンジンがトラックの荷台に広げられていた)。それ以外は、狭い部屋が1つあるだけだ。周囲には、栗の木しかない。
「ここに住み始めて半年が経つ。長く居すぎて慣れてしまってはダメだね」。ブリキで作られた部屋で、Jones氏はそう語ってくれた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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