「子どもとSNS」に注目が集まっている。その関係の中でも、光と影の両面に注目が集まっている。
影の代表的なものは、座間市で9人の遺体が見つかった事件で加害者と被害者が出会った場がTwitterだったことだろう。政府によって「Twitterの規制」が検討されていることは前回も述べた。ご紹介したとおり、Twitterが10代に自殺サイトや出会い系サイト代わりに利用されていることが問題視されているのだ。
しかしそんな中、LINEの新しい活路が話題となっている。子どもとSNSの光と影、課題と活用法について見ていきたい。
座間市の事件は社会問題化しており、Twitter社はさまざまな対策を始めている。
たとえば、ユーザーからの通報などに対応するほか、児童ポルノなどにおいてはTwitter社が自ら削除などの対応を開始。そのほか、GREE、サイバーエージェント、DeNA、Facebook Japan、mixi、LINEの6社が中心となって立ち上げた「青少年ネット利用環境整備協議会」に加入し、対策のための情報交換を始めている。
かつてGREEやモバゲーなどでは、ミニメールでのやり取りの内容を監視して個人情報をやり取りできないようにしたり、そもそもやり取りできる年齢を制限するなどして10代の出会い系被害を防いできた。ところが、LINEのトークやTwitterのDMなどは監視対象とはなっていないのが実態だ。18歳未満はID検索は制限されているが、実際は他の方法で出会って直接やり取りして会っているのは御存知の通りだ。
Twitter社は、自殺や自傷行為の助長などは違反行為と明言し、自殺や自傷行為をしようとしているユーザーに気づいたら専門チームに報告するよう専用のフォームを用意している。
対策は評価したいが、上記の対策だけでは、たとえば自殺に関する投稿ができないわけではないし削除されるわけでもない。LINEのトークや通話、TwitterのDMなどでやり取りされてしまったら追跡もできなくなる。
保護者世代の多くは、「子どもにスマートフォンを持たせるのが怖い」「できるだけLINEなどのSNSは使わせたくない」などと言う。座間市の事件以降は、「Twitterも使わせたくない」という声を多く耳にした。
それももっともな話で、SNSは新しいツールなので、事件が起きるとメディアに過剰に取り上げられてしまうことが多いのだ。そのため、「SNS=危険」「スマホ=危険」という認識ができあがってしまっている人は少なくない状態となっている。
しかし、SNSは悪いものというわけではない。2017年10月に長野県教育委員会が用意したLINEの相談用アカウント「ひとりで悩まないで@長野」で中高生の悩みを受け付けたことをご存知だろうか。そのアカウントには2週間で1579件、時間外も含めると約3500件のアクセスがあり、10人の専門相談員が全体の3分の1にあたる547件の相談に乗った。これは、前年度1年間の電話相談259件を大きく上回る数字だ。
文部科学省も「SNSを活用した相談体制の構築に関する当面の考え方」(2017年8月)で、平成30年度を目処に児童生徒がいじめなどの悩みについてSNSを活用して相談できる体制を施行的に実施していくとしている。いじめ相談の効果を受け、10〜20の自治体からLINE社に問い合わせがきており、大津市では試行がスタートしている。
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