ロボットが動かすレストランは飲食産業に革命をもたらすか

Katie Collins (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年11月27日 07時30分

 「ロボットレストラン」という言葉を聞いて、筆者が最初に連想するのは、東京にあるレストランのことだ。LEDやレーザー照明の下、遠隔操作で動くロボットがビキニ姿の女性と一緒に踊り回る、派手なディナーショーを売りにしている。

 だが、実際のロボットレストランというのは、それよりは地味なものかもしれない。

 例えば、サンフランシスコに本拠を置くEatsaが経営するレストランでは、「iPad」で注文を取り、オートメーションの機械で食事が提供される。これまでEatsaは、この技術を使って、キヌアボウルなどの健康志向の料理を自店舗で提供してきた。米国時間11月17日、同社はこのロボットプラットフォームを、Lettuce Entertain Youが運営するファーストフードチェーン店「Wow Bao」にも12月から展開すると発表した。

 Wow Baoはシカゴを中心に展開されているチェーン店で、アプリや、店舗にあるキオスク端末から中華まんを注文できるシステムを既に使っている。だが、Eatsaの技術が導入されれば、LED照明で照らされ、自分の名前が表示された戸棚のようなボックスから食事を受け取れるようになる。ボックスがずらりと並ぶ中、自分のボックスの前面には、注文の調理時間が表示され、料理を受け取れる時刻が分かるようになる。

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ボックスをダブルタップして料理を受け取る。
提供:Eatsa

 これは、Eatsaとしても急激な方向転換だ。同社は約1カ月前に、米国で7店舗あったレストランのうち5店舗を閉鎖すると発表したばかりだった。今では、Wow Baoのような他の飲食店にオートメーション技術をプラットフォームとして提供する事業へと移行しつつある。

 Eatsaの方向転換が可能だったのは、人工知能(AI)、パーソナルスクリーン技術、ロボット工学の融合がちょうどいいタイミングで訪れたからだが、おそらく何より大きかったのは、空腹を抱えた利用客が店員とのやり取り抜きで食事をしたいと考えるようになったことだろう。これは、技術の進歩が私たちの外食のしかたを次第に変えつつある一例だが、デリバリー技術の進歩で内食にも変化は訪れている。

 Eatsaが掲げるコンセプトも、今は奇抜に感じられるかもしれないが、リテールコンサルティング企業McMillanDoolittleのNeil Stern氏によると、この種の技術は今後も続いて出現することが予測されるという。「注文されたものを準備する様子を見せず、ボックスを介して提供することに意味があるのかと言えば、おそらくそんなことはない。だが、Eatsaが打ち出すビジョンは未来的だ。これは模倣され、広がっていくだろう」(Stern氏)

 Eatsaのシステムを導入したWow Baoの1号店は、12月1日、シカゴのゴールドコースト地区にオープンする。この技術を使って、Wow Baoは2018年のうちに店舗を倍増する計画だ。現在は、自社所有の拠点7店舗のほか、空港、大学構内、ホテル、スタジアムに出店している。

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出来上がった料理を提供するボックスが並ぶ。
提供:Wow Bao

 「サンフランシスコにEatsaができると耳にしたとき、私は飛行機に飛び乗って見に行った。(中略)今後当社の店舗に導入するのに理想的な技術だと、ひと目で分かった」。Wow BaoプレジデントのGeoff Alexander氏はこうコメントし、Eatsaの技術が楽しさと効率を両立させていると称賛した。

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