スマートフォンに人工知能(AI)の機能が加われば、テクノロジに新たなシフトが起きるだろう。Huawei Technologies(ファーウェイ)のコンシューマービジネスグループでソフトウェアエンジニアリングを統括し、インテリジェンスエンジニアリングの責任者も務めるFelix Zhang氏は、そう語った。AIは、人々の生活を根本から変える力を持っているという点で、蒸気機関の登場にも匹敵するのだという。
モバイルAIは、スマートフォンについて2つの側面を変える、とZhang氏は言う。ユーザーとマシン間の相互作用と、「コンテキストに基づいてパーソナライズされるオープン性」である。
同氏によると、前者によってユーザーはスマートフォンで文字や音声、画像、動画、センサをより効率的に操作できるようになり、後者によって、アプリやコンテンツ、サードパーティ製やネイティブの機能から、サービスや集約された情報の積極的な提供を受けることができるようになるという。
「エコシステム全体を見据えてみると、AIは携帯端末をスマートフォンから『インテリジェントフォン』へと根本的に変えることになる」。クアラルンプールで現地時間11月9日に開かれた「Huawei Asia-Pacific Innovation Day 2017」で、Zhang氏はこう語った。
ファーウェイは、AI内蔵チップセット「Kirin 970」を9月に発表し、それを「スマートフォンの未来」と呼んでいる。新しいモバイルAIは、デバイス搭載AIとクラウドAIを組み合わせたものだ。
「当社は、チップ、デバイス、クラウドが連携した開発を支援するエンドツーエンドの能力を築き上げることにより、スマートデバイスをインテリジェントデバイスへと進化させる取り組みに尽力している」と語るのは、コンシューマービジネスグループの最高経営責任者(CEO)を務めるRichard Yu氏だ。
「最終的な目標は、大幅に向上したユーザー体験を提供することだ。Kirin 970は一連の新たな進歩の先駆けとして、当社のデバイスに強力なAI機能をもたらし、競合製品に先んじることを可能にする」(Yu氏)
ファーウェイによると、クラウドAIには制約があり、遅延、安定性、プライバシーの点で改善が必要だったが、デバイス搭載AIがその部分を補うとともに、製品にセンサのデータを加えるという。
同社が新たなフラッグシップとして10月に発表したスマートフォン「Mate 10」と「Mate 10 Pro」には、AI重視のKirinプロセッサが搭載されている。Kirinは専用のニューラル処理ユニットを備え、画像認識の技術によって1分間に2000点の画像を処理できる。
ファーウェイは、今後の開発をさらに促すため、Kirin 970をモバイルAIの開発者およびパートナーに向けたオープンなプラットフォームとしても提供している。
Zhang氏によると、デバイス搭載AIを実装する際には、知覚、認識、セキュリティ、電力消費という4つの主な課題があったという。
また、同氏はMate 10とMate 10 Proが搭載するOS上の独自のUIである「EMUI 8.0」は、エコシステム全体を通じて「AI活用」機能を備え、機械学習を使用したインテリジェントなユーザー行動予測、インテリジェントなリソース割り当て、インテリジェントなコンテキスト認識が可能と述べている。
さらに、写真撮影時にはAIズームとAI被写体認識の機能によって、カメラが焦点を合わせる対象を認識する。また、「AI Accelerated Translator」(AIによる高速翻訳)の機能で、オフライン時でもオンライン時でも、これまでの翻訳技術と比べ3倍の速度で50以上の言語を翻訳できる。
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