AIoTに関しては10月19日に、「ヘルシオ」や「ホットクック」向けに料理キット宅配サービス「ヘルシオデリ」を開始したことを紹介。「当社のAIoTをより魅力的なものにするためには、サービスの拡充が重要であり、その観点から開始したサービスがヘルシオデリである。利用者からは、『美味しい料理が簡単に作れた』などと好評であり、今後は、さらに認知を広げるとともに、メニューの拡充にも取り組んでいく」とした。
また、11月11日には、AIoT対応の新型AQUOSの発売に合わせて、音楽配信サービス「COCORO MUSIC」や、ゲーム配信サービス「COCORO GAME」の提供を開始したことを紹介。「10月以降、日本でもGoogleやAmazon、LINEなどから、スマートスピーカが発売されているが、こうした機器と当社のCOCORO+サービスとの連携を進めるなど、当社と他社の機器やサービスがつながる仕組みを構築していく」と述べた。
戴社長が、他社のスマートスピーカと連携していく姿勢を強調したことで、この分野におけるシャープの今後の動きが注目されそうだ。
さらに、「当社のAIoT戦略をより一層磨き上げるためには、『One SHARP』として、事業間の連携をこれまで以上に強化しなくてはならない」とし、各事業本部の実務レベルのキーマンで構成したワーキングチームとして、AIoT戦略企画チームを新たに立ち上げたことを明らかにした。
「10月18日から2日間に渡り、第1回ワークショップを堺本社で開催した。今後、引き続き議論を積み重ね、事業の枠を越えた新たな商品やサービス、さらにはビジネスモデルのアイデアの創出につなげてほしい」と語った。
続いてのテーマとしてあげたのが、「ASEAN事業の拡大」である。
戴社長は、「海外市場における事業拡大は着実に進捗している。だが、市場のポテンシャルや当社のリソースを勘案すると、海外市場の中でも、ASEAN市場が、最も力を発揮できる市場であり、これまで以上に挑戦的な目標を掲げ、事業を拡大していかなければならないと考えている。こうした考えのもと、より効率的な事業推進体制を実現するための構造改革はもとより、売上拡大への取り組みをさらに強化していく」とした。
2018年1月に、マレーシアでは、販売会社であるSAM/SMSSを統轄会社のSEMに統合し、シンガポールでは、デバイス販売会社のSESLを、家電販売会社のSSCに統合し、両国において、1国1販社体制を構築。タイでは、販売会社のSTCLを連結子会社化し、今後、事業本部主導のもと、タイの市場ニーズに合わせた商品カテゴリやラインアップの拡充を進めていく姿勢を強調した。
また台湾では、2017年7月に販売会社のSTEが発足して以降、マーケティングの専門家が中心となって、商品の特徴や顧客層に合わせたタレントや宣伝メディアの活用に加え、精緻な費用対効果の検証などを行った結果、売上げが大幅に伸長したことを示しながら、「前回のメッセージでは、ASEAN市場におけるマーケティングやブランディングについては、まだまだ改善すべき点があると指摘したが、こうした知見を持つ台湾のメンバーと、日本のブランディングデザイン本部のメンバーで構成したチームをASEANの各拠点に派遣し、ノウハウの横展開を進め、飛躍的なレベルアップを実現していく」と述べた。
戴社長は、11月下旬には、再度ASEANに出張して、前回視察が実現しなかったマレーシア、シンガポール、ベトナムの3拠点を訪れて、管理、統制面の状況を確認し、直接指導するとともに、タイで行われるプレスイベントや、マレーシアでのディーラー大会にも出席し、積極的にシャープをアピールする姿勢を示した。
メッセージの最後に戴社長は、「2016年12月末の社長メッセージで、私は、『2017年はV字回復を果たし、トリのように大きく羽ばたく1年にしよう』と話したことを覚えているでしょうか?」と投げかけ、「2017年も残すところ1ヵ月半となった。この間、3四半期連続で売上高の前年伸長を達成するとともに、利益についてもV字回復し、中期経営計画の完遂に向けて、順調な一歩を踏み出すことができた。1年の締めくくりとなる年末商戦も社員全員の力で勝ち抜き、より一層、空高く羽ばたいていこう」と呼びかけた。
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