cotoboxは11月20日、最短3分で商標登録出願の準備ができるサービス「Cotobox」のベータ版をリリースした。スムーズな商標登録を促進することで、中小・ベンチャー企業のブランド保護・育成を支援する。
Cotoboxは、同社が独自開発したAI技術を使って、わずか3ステップ・最短3分で商標登録出願のための書類を作成できるサービス。書類作成後は、提携弁理士が最終チェックをして特許庁に提出してくれる。管理画面で、特許庁の審査状況や商標権のステータスをいつでも確認できるという。
また、無料の商標検索も可能で、ビジネスのネーミングを思いついた瞬間に、登録できるかどうかをチェックできるという。たとえば、「カバン」というキーワードを入れると、特許庁の審査基準に沿って「化学品」「服、履物」など40以上の区分で登録できるかを即座に教えてくれる。
1区分あたりの料金は、エコノミープランが出願時5000円、登録時1万5000円。定型弁理士によるフルサポート付きのプレミアムプランが、出願時3万5000円、登録時1万5000円となる。
cotobox代表取締役の五味和泰氏は、大手国際特許事務所での10年間の知財実務経験を経て2015年に独立。その後、南カリフォルニア大学ロースクール(LL.M.)に留学した際に参加したスタートアッププログラムで、「リーガル×テック」や「知財×テック」などの国際的な流れを肌で感じ、2016年2月に同社を設立した。「(米国では)ビジネスモデルの前にネーミングのつけ方を学ぶ。権利関係が重要で商標チェックは必須」(五味氏)。
近年は日本でも、商標に関する法律リスクが顕在化し、ネーミング変更や金銭での解決を余儀なくされるケースが見られる。実際に五味氏が、日本のスタートアップや起業家を対象に独自に調査したところ、93%が商標を登録しておらず、サービス開始から1年経ってもその数は80%におよぶという。また、15%は商標登録できないネーミングで変更せざるを得なかったという。
しかし、実務経験がない人にとって商標登録作業は煩雑で分かりづらく、自身で事前調査や書類作成をするには膨大な時間がかかる。また、弁理士などの専門家に依頼するにも費用が高額なため、多くの企業が商標保護を後回しにしてしまっていると五味氏は指摘する。この状況を変えるために、Cotoboxを開発した。
「Cotoboxのクローズドベータ版を使って、通勤時間中に商標登録をしたというユーザーもいた。知財はまだまだ高級な制度なので民主化できる。ドメインを取得するように、商標を簡単にとれる時代にしたい」(五味氏)。
将来的には、大企業向けの商標業務管理システムを開発したいと五味氏は話す。インターネット上にある会社名・商品名・サービス名などをモニタリングし、自社のネーミングが世界中のどこで使われているか、似たようなネーミングがあるか、商標権は取っているか、などを可視化するとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」