スマートロック「TiNK」発売--アパマン、シャープらと連携し2021年100万台設置へ

 tsumug(ツムグ)は11月9日、スマートキー「TiNK(ティンク)」シリーズを発表した。本体にLTE、Bluetooth Low Energy、afero Secure Radio Moduleを内蔵し、単体で通信することで独自のセキュア環境を提供する。シリンダータイプの「TiNK C」と集合住宅の集合機に設置する「TiNK E」をラインアップする。

「TiNK C」。「室外リーダー」と「室内ボディ」
「TiNK C」。「室外リーダー」と「室内ボディ」
tsumug代表取締役の牧田恵里氏
tsumug代表取締役社長の牧田恵里氏

 tsumugは、2015年に設立したスタートアップ。本社は福岡で、コネクティッド・ロックの開発と関連サービスを手がける。代表取締役社長の牧田恵里氏が一人暮らしの自宅に帰った時、室内に違和感を感じ、セキュリティ性の高い鍵がほしいと感じたことが開発のきっかけだったという。

 テンキーやスマートフォンの読み取り装置を備えた「室外リーダー」と「室内ボディ」、集合玄関用の「集合玄関リーダー」から構成され、自宅には室外リーダーと室内ボディを設置することが使用できる。

 一般的なシリンダー錠に付け替えができ、数字認証、NFC、専用スマートフォンアプリからの解錠が可能。最大5名までのキーシェアリングや、一時的にキーを発行し解錠ができるワンタイムキー発行機能も備える。


左から集合住宅の集合機に設置する「TiNK E」とシリンダータイプの「TiNK C」(室外リーダー)

 通信は、さくらインターネットが提供するIoTプラットフォーム「sakura.io」と米aferoの「afero」を採用。sakura.io仕様に沿った通信モジュールを作るためのラインセンス「プロトコルライセンス」の提供を受け、低消費電力を実現したtsumug製のオリジナル通信モジュールを開発。専用バッテリパックで作動するが、バッテリはスライドすることが取り外しが可能。2つ搭載しているため、1つを充電しながら使用できるほか、非常用電源により10回程度の鍵の開閉に対応する仕組みだ。充電池の電池容量は8000mAhで、付属の充電器を使って充電が可能。これだけをモバイルバッテリとして使うこともできる。

 TiNKは量産化にあたり、シャープの「量産アクセラレーションプログラム」に参加。これはシャープが持つ量産設計や品質、信頼性の確保などの知見とノウハウをスタートアップ向けに提供するもので、今回が第1号になる。

 同日に発売し、2018年初頭から随時出荷していく。すでにアパマンショップホールディングスグループが販売パートナーに決定しており、賃貸の空き物件へ設置を進める。これにより内見業務の効率化を図るとともに、オーナーへの物件価値向上、入居者への各種サービス提供を行い、2021年までに100万世帯への設置を計画する。一般販売は2018年8月以降を予定している。

 一般販売向け料金は4万9900円で、初期設定料金は9800円、月額500円の基本料がかかる。オプションとして「帰宅お知らせ機能」、「シニア見守り機能」(各月額300円)も用意する。パートナー企業へは本体価格が無料になるキャンペーン料金を用意する。

 将来的には、宅配業者と連携し、不在時でも部屋の中まで荷物を届けてもらえる「宅内配達サービス」やaferoなどのBluetooth Low Energy搭載家電と連携した「ホームコントロールサービス」なども想定しているとのこと。メルカリのグループ会社であるソウゾウが2018年初頭にサービス開始を予定しているオンデマンドシェアサイクル事業「メルチャリ」で、シャアサイクル用コネクティッド・ロックの共同開発も計画している。

 

発表会では、パートナー企業らが参加したトークセッションを開催。左からアパマンホールディングス代表取締役社長の大村浩次氏、さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏、メルカリ 取締役CPOの濱田優貴氏、tsumug代表取締役社長の牧田恵里氏、シャープ研究開発事業本部 オープンイノベーションセンター 所長の金丸和生氏、Mistletoeファウンダーの孫泰蔵氏、tsumug取締役の小笠原治氏

孫泰蔵氏は、自宅は完全なプライベート空間から民泊などセミオープンな空間が混在する場所に変わりつつあるとし、その際TiNKは重要な役割を果たすとした

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