ARで家具の配置を確認できる「ARホームステージングサービス」--大京穴吹が導入

 大京穴吹不動産は11月8日、空室に家具や小物などを置いた状態をARで再現する「ARホームステージングサービス」の提供を開始すると発表した。スマートフォンの画面上で歩きながら、インテリアコーティネートされた室内を見られる。サービスの提供開始は11月10日。大京穴吹不動産が仲介、販売する首都圏エリアの物件で順次対応する。

 ホームステージングは、家具や小物でインテリアコーディネートを加え、入居後の様子をイメージしやすくする販売手法。ARホームステージングサービスは、家具や小物を実際に配置することなく、スマートフォン上でARを用いてホームステージングの状態を再現する。

 アプリには、インテリアショップ向けのクラウドサービス「インテリア3Dシミュレーター」などを手掛けるリビングスタイルの「RoomCo AR(ルムコエーアール)」を、ホームステージング用にカスタマイズして使用。端末にはレノボのファブレット「PHAB2 Pro」を採用する。

「ARホームステージングサービス」
「ARホームステージングサービス」。空室に端末をかざすと、家具や小物でインテリアコーディネートされた室内が見られる

 アプリ、端末ともに、空間とそこにある物体をリアルタイムに認識し、マッピングするGoogleの技術「Tango(タンゴ)」に対応していることが特徴。端末には1600万画素のカメラに加え、距離を測る深度/距離カメラモジュール、広い視野で周りを検知する魚眼カメラを搭載。これにより、空間を認識、実物大のものをARで見せられる。

 配置する家具は、リビングスタイルが実際に販売している21ブランド、約30万点のデータを用意。データは随時増えていくほか、植物や食器、絵画など、コーディネートを作る上で重要になっている小物類も追加しているという。

 大京穴吹不動産では、各営業担当者が端末を使ってARホームステージングを作り上げ、入居希望者に、内見時に直接見てもらうことで、入居を促す。

ファブレット「PHAB2 Pro」を
端末にはレノボのファブレット「PHAB2 Pro」を採用。画面は6.4インチ。持ち歩きやすいよう、ハンドル付きのカバーがつけられていた

 大京穴吹不動産事業統括部担当部長の菅原仁氏は「実際の家具を配置するホームステージングは2013年から取り組んでおり、2016年度は1400戸超の物件で実施している。ただ家具の搬入やセッティングに1~2週間の日数が必要になるほか、コストも20~40万円程度かかり、すべての物件に導入できるわけではない。現在でも、約25%にあたる2000戸超の物件では空室の状態で案内しており、ARホームステージングサービスを利用することで、コストを抑えてホームステージングを活用していきたい」と今後について説明した。

 11月10日の段階では、大京穴吹不動産が仲介、販売する首都圏エリアの物件を扱う新宿、池袋、渋谷、横浜、錦糸町の営業所でサービスをスタート。2018年1月以降に全国に展開していく予定だ。

 通常のホームステージングも継続して実施していく方針で、ARホームステージングサービスとは住み分けていくとのこと。AR上でのセッティングは約15分程度としており、いくつかのパターンを用意することで、簡単な導入を目指す。

左から、レノボ・ジャパンモバイル製品事業本部エンタープライズ戦略統括部ビジネス開発法人部長の土居憲太郎氏、大京穴吹不動産事業統括部担当部長の菅原仁氏、リビングスタイル代表執行役CEOの坂本尊志氏
左から、レノボ・ジャパンモバイル製品事業本部エンタープライズ戦略統括部ビジネス開発法人部長の土居憲太郎氏、大京穴吹不動産事業統括部担当部長の菅原仁氏、リビングスタイル代表執行役CEOの坂本尊志氏

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