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ソフトバンク孫社長、米Sprintの合併交渉打ち切りの経緯を明かす

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 ソフトバンクグループは11月6日、2018年3月期第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比3.3%増の4兆4111億円、営業利益は35.1%増の8748億円と、増収増益の決算となった。


決算説明会に登壇するソフトバンクグループの孫正義社長

 同日に実施された決算説明会の冒頭、同社代表取締役社長の孫正義氏は、決算の直前に発表された同社傘下の米SprintとT-Mobile米国法人との合併交渉中止について、その経緯を詳しく説明した。

 両社の合併はもともと、孫氏がSprint買収時に検討していたもので、当時は米国政府の認可が得られない可能性が高いことから中断に至ったものの、大統領が変わり規制に関する考え方が変わったことを受け、改めて合併に向けた交渉を進めていたものだ。

 しかし孫氏によると、「ソフトバンクグループが経営権を取る、あるいは(経営権を共同で持つ)イコールパートナーとなるのであれば合併はあり得たが、先方(T-Mobile)は単独で経営権を獲得できなければ合併はできないとのことだった」という。ソフトバンクグループの取締役会でも、米国を戦略的な拠点とするのであれば経営権を手放すべきではないとの意見が挙がったことから、孫氏からT-Mobile側に、合併交渉の打ち切りを伝えたのだという。


スプリントとTモバイル米国法人との合併交渉は、経営権を巡る意見の相違から合意に至らず、交渉打ち切りとなった

 T-Mobileとの合併がなくなったことで、Sprintは米国における契約者数でAT&TやVerizonに迫る“第3局”を作るのは困難になった。だが孫氏は、IoT向けチップセットの設計に強みを持つ英ARMを傘下に持つこと、そして低軌道衛星による衛星ブロードバンドサービスの実現を目指すOneWebに出資していることを挙げ、固定電話、固定インターネット、映像サービス、モバイルの4つを組み合わせた「クアッドプレイ」や、IoT向けのインフラ事業に注力することで、Sprint単独での成長を実現させる考えを示した。

 「これら(ARMやOneWebなどのアセット)は他社に簡単に真似ができるものではない。それらを活用したサービスが始まった時には、Sprintを売らなくてよかったと心の底から喜べる」と、孫氏は自信を見せている。


単独での生き残りを目指すスプリントは、米国での重要な拠点とし、ARMやOneWebなど投資先のシナジーをフルに生かすことで成長に結び付けていく考えのようだ

 また孫氏は、ソフトバンクグループの今回の業績にも、Sprintの利益拡大が寄与していると説明。実際Sprintは、今期の営業利益が18億ドル(約2021億円)にまで拡大。1年前から約80%利益を伸ばしているとのこと。「毎年利益が赤字の会社が、たった半年で2000億円近い利益を出せるようになったのは大きな変化だ」と、孫氏も改めてその急回復ぶりをアピールした。

 もう1つ、ソフトバンクグループの利益を押し上げているのがソフトバンク・ビジョン・ファンドによる投資先企業の評価益で、1862億円の利益を生み出している。中でも利益向上に最も大きく貢献しているのは米NVIDIAとのことだが、孫氏は他にも、ビジネス向けコミュニケーションツールを提供する米Slackなど、いくつかの新たな投資先を紹介。投資先企業との群戦略をもって、情報革命を加速するという同社のビジョンを実現する意欲を改めて示した。


ソフトバンク・ビジョン・ファンドは順調に投資先を拡大しており、エヌビディアの評価益で利益を大きく押し上げている

 さらに新たな取り組みとして、ソフトバンクグループはソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じて、57兆円を投資して進めるという、サウジアラビアの紅海沿岸の新都市計画に参加し、積極的に関与していくとのこと。その一環として、サウジアラビア唯一の電力会社であるサウジ電力会社に経営参画するという。具体的な投資額などは今後数カ月かけて決めていくそうだが、すでに太陽光発電事業を手がけているインドでのノウハウを生かしつつ、IoTやAIなどの先端技術をフルに活用することで、自然エネルギーを活用した新たな電力事業を進めたいとしている。


ソフトバンク・ビジョン・ファンドの新たな取り組みとして、サウジアラビアの新都市計画に参加するほか、サウジ電力公社に経営参画して太陽光発電事業を拡大することを明らかにした

 一方、かねてより噂されている米Uberへの出資に関して、孫氏は「前向きに検討はしているが、さまざまな条件がある。条件などによっては、投資先をライバルの米Lyftに変更することも十分あり得る」と回答。投資に至るかどうかは最後まで分からないとの認識を示した。

 海外での事業に力を注ぐソフトバンクグループだが、主力事業の1つである国内通信事業に関しては、売上高が前年同期比1.6%減の1兆5289億円、営業利益が6.9%減の4339億円と、前四半期と同様に減収減益を記録している。その理由について孫氏は、ワイモバイルや「おうち割光セット」の契約数拡大、そして「Yahoo!ショッピング」との連携による10倍ポイントキャンペーン施策など、顧客獲得のための値引きに費やす先行投資のためと説明している。


国内通信事業は引き続き顧客獲得のための投資が拡大し、減収減益となっている。

 そうした成果もあって、ソフトバンクのスマートフォン純増数は前年同期比33%の81万契約に伸びているほか、Wireless City PlanningのAXGP回線を用いた「SoftBank Air」の契約数も含んだ「ソフトバンク光」の契約数は、前年同期比61%増の436万に拡大したとのこと。またソフトバンク・ワイモバイルユーザーのスマートログイン経由によるYahoo!ショッピングの購入者数も、ポイント10倍キャンペーンなどの開始から約8カ月で、3倍に伸びたとしている。

 ちなみに、11月3日に発売された「iPhone X」の販売動向に関しては、同社代表取締役副社長の宮内謙氏によると「iPhone XがiPhone 8の倍くらいの規模で、供給が追いついてない」とのこと。3つの新機種を足し合わせると、2016年のiPhone 7/7 Plusよりも販売が大幅に伸びており、販売は非常に好調だとした。

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