富士通とLenovo、日本政策投資銀行(DBJ)は11月2日、PC事業の合弁会社を設立することで正式に合意したと発表した。
富士通は、富士通の100%子会社である富士通クライアントコンピューティング(以下、FCCL)の株式のうち51%をレノボに、5%をDBJに対して譲渡する。FCCLは社名を継続して使用し、FCCLをレノボ、富士通、およびDBJの合弁会社とする。株式譲渡は2018年度第1四半期を目途にしており、富士通が受け取る譲渡価額は合計で280億円(約19億香港ドル、内、レノボ255億円、DBJ25億円)となる。
FCCLは独立した専任の組織として、引き続き富士通FMVブランドでの販売を継続。FCCLの代表取締役社長には現在FCCL代表取締役社長の齋藤邦彰氏が就任する。「業務や経営陣、チームメンバーにも変更はない」(レノボ・グループ シニアバイスプレジデント アジアパシフィック地域プレジデントのケン・ウォン氏)とし、現状と組織構成は変わらないことを強調した。
レノボは2011年1月、NECとレノボによる合弁会社を設立している。Lenovo NEC Holdings B. V.の傘下に、100%子会社として、NECパーソナルコンピュータとレノボ・ジャパンがある。それぞれ別ブランドとしてPCをリリースしているが、両社は調達や開発連携だけでなく、山形県にあるNECパーソナルコンピュータ米沢工場でThinkPadの国内生産を開始するなど、さまざまなシナジーを生み出している。
今回の富士通と日本市場についてウォン氏は、「富士通ブランドを尊敬している。『世界の車窓から』という番組、これもブランド力を裏付けているもの。2つの点で日本のPC市場は魅力がある。まず今後も企業向けを中心に数年間は成長し続ける。2020年の東京オリンピックもあり、商業マーケットもポジティブなトレンド。さらに世界で最も先端的なテクノロジを好むユーザーがいる。平均売上げが最も高い日本はプレミアムなマーケット」と語った。
富士通は2016年2月、ノートPC・デスクトップPC事業を会社分割してFCCLがスタートした。また同時に携帯端末事業を分社化し、「富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社」へと継承している。
こうした新体制への準備とされてきた会社分割の後、かねてからのうわさ通り2016年10月、富士通とレノボはPC事業に関して「戦略的提携を検討している」と発表した。それから1年以上かけ、慎重に協議を進めてきた。
この点について、富士通 代表取締役社長の田中達也氏は、「PCにおけるグローバルリーダーであるレノボとの協業がベストなソリューションと判断。検討を発表してから、お客様にとってなにが最適かという観点から、両者のシナジーが最も効果的になるビジネススキームを丁寧に時間をかけて議論し、本日の合意に至った。レノボとの提携は、当社がこれまで30年以上にわたって培ってきた製品開発力などに加え、世界屈指のレノボの調達力とスケールメリットを利用することが目的」と説明した。
一方のレノボ・グループ 会長兼CEOのヤンチン・ヤン氏は、協議に時間をかけたことについて中国のことわざ「好事多磨」を引用し「これは、よい結婚を望むならば少し時間をかけた方がいいという意味。こうして合意できて満足している。この結婚は成功すると思う」と語った。
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