2017年1月からデジタルマーケティング学部に籍を置く日本人のHさんに話を聞くことができた。インターネットでのリサーチでこの大学を知ったHさんは、入学のハードルが低く、学費も比較的高くなく、新しいことを取り入れる学風があることから、この学校に進学することを決めたという。
教授や講師陣は地元のバルセロナ、アメリカ、イギリス、インド、ロシアなどから一流の先生を招集しており、博士号をもつ教授のみならず、ウェブデベロッパー、データアナリスト、ネットワーク機器会社、IT企業など、最前線で経験を積んだ講師陣のレクチャーから最新のビジネストレンドが学べる意義は大きいとHさんは話す。
「授業は概論から始まり、だんだんと深まっている感じです。私はマスターを主眼においた授業を受けているため、自主的に提案していくことが求められます。デジタルマーケティングは自分にとって新しい分野だったため、最初の3カ月は大変でしたが、プレゼンのビジュアルスタイルも含め、自分が習ってきたアプローチとまったく異なっていたため非常に新鮮でした。オールドスクールで学んできたんだなと実感しました。現在コースの4分の3を終えたところなのですが、かなり知識がついてきたことを実感しています」。
違うビジネススクールで「多国籍」を経験したHさんでも多彩なクラスメイトに驚いたそうだ。
「スペインをはじめ、欧州各国、モルドバ、ジョージア、キルギスなど多国籍ぶりは際立っています。アジアもタイ、マレーシア、フィリピンからの学生が増えてきました。加えてバルセロナのオープンでフレンドリーな文化は暮らしやすいですね。地下鉄、電車、バス、シェアバイクなど交通機関も整っています。英語でも日常生活が送れるコスモポリタンな雰囲気とカタルーニャの伝統、海と山の両方がある自然環境や天候もいい。それに親日家の人も多い気がします」。
大学では、講義に加えてACM-ICPC(国際大学対抗プログラミングコンテスト)のブートキャンプ、14~16歳を対象にしたサマーキャンプ、日本をはじめ世界からゲストスピーカーを迎えるなど、テクノロジの「最前線」を全方位から取り入れる意気込みと勢いがある。近い将来、航空宇宙工学、フィンテック、バイオテックの学部も設置する予定だ。
バルセロナ市も欧州におけるイノベーティブなテクノロジの中核として、海外の才能ある人間や企業の誘致に積極的に取り組んでいる。野心と野望をもった若者が、次世代テクノロジを学び、イノベーションにつながるアイデアを考え、将来協働できる仲間とのネットワークを構築しようと、さまざまな国からやってくる。実践的、即日的な講義内容もそうだが、そのような熱気ある空間に自らを置いて学び、得るものは果てしなく大きい。
(編集協力:Livit 岡徳之)
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