SNSは同世代や似た相手とつながることが多いため、使い方に世代間ギャップが見えやすいところでもある。特にギャップが大きいのは、トレンドに敏感な女子高生と保護者などの大人世代かもしれない。
今回は、女子高生が大人世代をどう思っているのかをSNSから考えていきたい。同時に、高校生世代と保護者世代におけるコミュニケーションと課題についても考えていく。
最近のSNSやゲームは、年齢の離れた知らない異性などと交流が難しくなっているものが多い。
たとえばアメーバピグは、18歳未満のユーザーと18歳以上のユーザーは、同じ環境で利用できないようになっていた。2016年11月より同じ環境で利用できるようになったものの、18歳未満ユーザーはピグトークというチャット機能が利用できず、24時間体制でチャットが監視されている。
GREEでは、たとえば13歳のユーザーは13〜15歳のユーザーにしかチャットが送受信できないなど、18歳未満ユーザーと18歳以上ユーザーの間のチャット送受信が制限されている。同時に、18歳以上ユーザーによる検索結果から18歳未満ユーザーは除外されている。モバゲーでも同様の年齢制限が設けられている。
では、このような状態で一体どこで女子中高生と大人世代が交流するのかというと、制限がないTwitterになる。
女子中高生のマーケティングチーム・JCJK調査隊で「知らないおじさんからTwitterでリプライがきたことがありますか?」とアンケートを取ったところ、8割が「ある」と回答したという。「かわいいね」「いいね」といったものから、「上履きを売ってよ」「顔を見せてほしい」という不快な発言も混じっていたそうだ。
警察庁の「平成28年におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について」(2017年4月: PDF)でも、コミュニティサイトでの犯罪被害児童が過去最多となっており、特にTwitterでの被害が前年の2倍に急増していることが分かっている。やはり年齢制限もなく、匿名で複数アカウントが作れるTwitterで異世代間コミュニケーションが行われていることが分かる。
異世代がコミュニケーションしているのは、Twitterだけではない。ローリエプレスの「10代、20代女子に聞くInstagramに関する実態調査」(2017年7月)によると、「Instagramをやっていてストレスになること」という質問に対して、1位は「副業系や興味ないビジネスアカウントにフォローやコメントをされる」(53.4%)だったが、2位は「知らないおじさんなどにフォローやコメントをされる」(22.4%)となっていた。
TwitterもInstagramも匿名で複数アカウントを作成・利用することができる。また、鍵をかけてフォローを制限しない限り、誰でもフォローできるという特徴を持つ。そのため、通常ならつながらないはずの異世代がつながることがあるというわけだ。
上記の調査結果から分かることは、女子高生は興味がない相手に一方的にからまれることを敬遠しているということだ。大人世代は女子高生に興味がある。マーケティング的にはトレンドを生み出すと言われる世代であり、保護者からは保護すべき子どもであり、おじさんから見ればJKブランドなのが女子高生だ。一方、女子高生たちにとっては、大人世代は一方的に絡んでくる敬遠すべき存在なのだ。
10代は知らない大人に限らず、そもそも大人世代とは距離を置きたいという意識が強い。保護者や教員たちから干渉されず、自由に友だちとコミュニケーションしたいと考えるからだ。米Facebookで10代のFacebook離れが話題となっているが、理由はほぼ同じだ。同時に、10代は大人が使うようになったサービスはもうダサいと感じる。そのため、大人世代がサービスに入ってきたり、アカウントをフォローされたりすると、不快に感じたり他のサービスに移ったりするのだ。
10代の子たちにとっては、普段利用しているLINEで保護者とコミュニケーションするのは負担ではない。プライベートな友だちとのコミュニケーションはグループトークですればいいからだ。一方、TwitterやInstagramなどでは会話がすべて見える状態になるので、保護者や教員などがいきなりフォローすると不快に感じてブロックされる可能性が高い。保護者は無理やり子どものアカウントをフォローするのではなく、子どもたちにとって負担の少ないツールでコミュニケーションを取ったり、直接対話するようにするのがおすすめだ。
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